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私は約1年前にオーストラリア国籍の男性と結婚し、現在はテンポラリーの配偶者ビザで滞在しています。結婚直後から夫の態度が急変し、今日に至るまで度重なる家庭内暴力を受けてきました。現在は離婚を視野に入れた別居も考慮中ですが、私のビザはまだ正式な永住ビザに切り替わっていないため、今後のビザの動向が心配です。私がもし今後も豪州に留まることを希望する場合、救済措置などの特例はあるのでしょうか。 （32歳女性＝会社員）

福田美香（ふくた みか）
アドバンス移民法コンサルティング（旧称：福田･青木移民法コンサルティング）

シドニー大学大学院卒。96年移民申請代理人資格初期登録。青木智子氏とともにアドバンス法律事務所･移民法コンサルティングを共同運営。日本の出版社への記事寄稿多数

配偶者ビザは約2年のテンポラリー･ビザを経てから正規の永住ビザに移行するという、2段階方式で発給されるビザです（ビザ申請時で既に長期間の婚姻関係がある場合などを除く）。通常は永住ビザに移行する段階で、ビザ申請者とスポンサーの関係が継続していることを証明する書類を多数提出する必要がありますが、2人の関係が消滅もしくは破綻していても永住ビザに移行することができる特例措置が設定されています。これには大きく分けて下記の3種類のシチュエーションが該当します。

　 ご質問の方の場合、上記3)が該当する可能性があります。この特例は、移民法上では「Domestic Violence Provision」と呼ばれており、配偶者ビザのみに限定されず、そのほかの数種の永住ビザ申請上でも適用されます。
　この特例の適用を受けるためには、さまざまな証拠の提示が必要とされ、認められる証拠としては法律的に決定されたものと、そうでないものに分類されます。例を下記に列記します。

●有効とされる、法的に決定された証拠
　下記のいずれかを持ってして有効な証拠とされます。
●法的には決定されていないが有効とされる証拠
　前述の法的に決定された証拠とは異なり、下記のすべてを準備する必要があります。
　目撃者の証言付きではない警察の記録も、上記2通の「Competent Persons」からの宣誓供述書の1通の代わりとして有効とされます。
　また、ビザ申請者と配偶者もしくはパートナーによって共同で裁判所に提出された配偶者もしくはパートナーの家庭内暴力の事実も有効な証拠として認められます。
　なお、Competent Personsとして定義付けられている職業のリストは連邦移住省のHP上（www.immi.gov.au/facts /38domestic.htm）をご参照ください。
　この特例を受けるためには複雑な証拠書類を必要とされ、その査定･評価基準もかなり厳しいものとなります。また、連邦移住省が必要と見なせば、状況次第では上記の書類の審査に加え、第三者へのさらなる査定が依頼されることもあります。

　今回ご説明したようなシチュエーションが発生した場合は、まずはすみやかに移住省に連絡することをお薦めします。どの移住省オフィスにも「Domestic Violence Contact Officer」と呼ばれるスタッフが配置されています。