「痛い」「苦しい」「つらい」。こんな症状の回復や治療のために病院に行くのに、逆に病院で病気をうつされたら、たまりません▼茅ケ崎市立病院で、C型肝炎の院内感染が発覚しました。原因は心臓カテーテル検査で使用する器具の使い回しとみられています。肝臓病患者の団体からは「まだ、使い回しをしているのか」とあきれられ、深い悲しみが表明されました▼今では考えられないことですが、自分の小学校時代も1本の注射器で何人にも予防接種をしていました。「最初に打つ注射は痛いんだ」などと話していた友人のことを覚えています。思い出すたびに本当にゾッとします▼医療には「安全」「信頼」「技術」「優しさ」などが求められています。患者は医療にすがります。まして地域の中核病院なら命を預けることにもなります。そして患者は弱者です。病院では「ゾッ」とするのではなく、「ホッ」としたいのです。【渡辺明博】
毎日新聞 2008年1月9日