病院にも「コンシェルジュ」 名古屋大から全国展開2008年01月09日 ホテルで宿泊客の要望に対応する「コンシェルジュ」を病院に配置する取り組みが進んでいる。慣れない病院で戸惑う患者に代わり、診療科の選択や初診手続きの手配、医師への連絡などの世話をする。すでに導入した病院では、待ち時間の短縮や診療時間の増加などの効果が出ている。 がんと診断されたAさんは、セカンドオピニオン外来を予約しようと、病院に電話した。対応したコンシェルジュは、当日までに必要な資料や診断書などを説明。医師には事前に患者の情報を伝えた。外来当日、Aさんはすでに用意されていた診察券を手に、コンシェルジュに付き添われて診察室に向かった――。 名古屋市昭和区の名古屋大病院は06年7月に、こんな役割を担うコンシェルジュを導入した。現在、4人が配置され、主にセカンドオピニオン外来や地域連携の分野で活躍している。 病院の場合、総合案内で全般的な質問に答えているので、コンシェルジュは病院の一室で「黒衣」として専門的な相談に対応することが多い。 千葉県鴨川市の亀田総合病院では、8人のコンシェルジュが月80件ほど対応している。遠方からの患者には、交通案内に加え、宿泊施設の予約もする。病院のカスタマーリレーション部は「医師の雑用が減って診療時間が増えたほか、県外からも患者を集めやすくなった」。患者からも「初めての病院でも安心して受診できた」と好評だという。 普及を進めているのはNPO法人「日本医療コンシェルジュ研究所」(事務局・東京)だ。理事長を務める名古屋大放射線科の深津博准教授は、自分が働いている病院なのに父親の初診受け付け方法もわからず、戸惑った経験などから、サービスの必要性を痛感していた。 05年に試験的に放射線科に1人配置し、初診患者の受け付け手続きの代行や院内の付き添いなどをさせた。他科の通常の初診患者と受け付けや診療開始までにかかる時間を比べると、コンシェルジュ利用者の方が大幅に時間が短かった。 その年の11月にNPO法人を設立、病院職員らを中心にこれまでに約200人の「医療コンシェルジュ」を資格認定した。済生会栗橋病院(埼玉県栗橋町)や名鉄病院(名古屋市)、大分中村病院(大分市)など12病院に配置されている。病院職員がコンシェルジュを兼務したり、新たに職員として採用されたりしているケースが多い。今後導入を検討している病院も全国に25カ所ほどあるという。 ただ、病院にとっては新たな人件費がかさむため、普及しづらいという課題を抱える。深津さんは「コンシェルジュがいると患者の満足度が高まり、長い目で見て病院の増収にもつながる」と話す。今後5年の間に1000人ほどに増やしたいという。 この記事の関連情報健康
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