宮城・やけど女性死亡「現場に30分不適切」専門家ら指摘
宮城県蔵王町平沢で6日夜に無職山家タマコさん(88)方が全焼し、山家さんが全身やけどで8日に死亡した火事で、救急搬送の際に受け入れ先が決まらず、病院収容に時間を要したことについて、熱傷の専門医は「現場近くの病院で点滴を受けてから、仙台市内の病院に搬送することも考えられた」としている。
山家さんを搬送した救急車は、収容先が決まるまで現場に約30分とどまった。高度救急医療が必要と判断した地元の2病院と、別の重傷患者を治療中の東北大病院(仙台市)では受け入れられず、仙台市立病院に運ばれたのは火災発生から約1時間半後だった。
日本熱傷学会認定医の遠藤重厚岩手医大高度救命救急センター長は「重度のやけど治療では、30分から一時間以内に十分な点滴をすることが理想」とした上で、「救急車が現場に30分とどまったのは必ずしも適切と言えない。近くの病院で点滴の応急処置と呼吸管理を行い、それから仙台の病院に搬送する選択肢もあった」と指摘する。
仙南地域広域行政事務組合消防本部(大河原町)は「地元2病院に指示を仰ぎ、可能な限り迅速に対応したと考えている。しっかりと検証し、仙南の医師や行政とも協議して今後に生かしたい」としている。