「ダム効果」という言葉からは今、岡山県・高梁川水系の渇水が連想されるでしょうか。少雨により、異例の冬季からの取水制限に入っており、ダムの貯水率が気がかりです。
こうした実際のダムではありませんが、「人口ダム効果」というものがあることを、かつてシンクタンクの方から教えてもらいました。
市町村を超えて通勤する人が多くなり、広域的な都市圏ができると、人口流出が止まるという、ダムのような効果があるというのです。自分の住む自治体では、なかなか思うような仕事がなくても、近隣の都市などへ通勤することで、就業の機会が増えます。このため仕事を求めて外に移り住む人が減る、といった理由です。
単独の自治体より広域都市圏でまとまった方が人口規模が大きくなり、集積効果で有利な面が出てくるわけです。
今年四月に二十周年を迎える瀬戸大橋で結ばれた岡山県と香川県が連携する大きな意義は、まさにこの「人口ダム効果」にあるでしょう。通勤圏ともなった両県の地域が広域的な都市圏となれば、人口二百万人規模に及びます。
いかに両地域の一体化を進めるかが課題です。具体的には、瀬戸大橋線の複線化による輸送力増強や瀬戸大橋の通行料金引き下げ、両県の情報の共有化、単位互換制度などの大学間連携といった施策が求められるでしょう。
現在岡山県政などの担当デスクをしていますが、明確な地域振興の戦略が必要だと感じます。広域都市圏の形成を、その機軸に据えるべきではないでしょうか。
(政治部・岡山一郎)