My Fairy King

   

 

 

 弟があの時、僕が読んでいたシェイクスピアをあまり聞いていなかったのは知っている。ぼんやりして上の空で、まるで何かを見ている様だった。

 僕はあの時、──────弟があの妖精王の事を考えていたと確信していた。

だけど、だからこそ僕はいつも通り普通に、気付かなかった様に振る舞う事にしたんだ。

 心の奥底で僕は、弟とこうして過ごす時間が残り少ないと気付いていたに違いない。

僕は美しい節回しを読み上げながらオベロンを、楽しげな妖精たちを憎んだ。

<麝香いばらの蕾の毛虫を殺しておいで、こうもりと戦って翼の皮を剥ぎとり、小さな妖精達の着物を造っておやり、

それから、夜毎にほうほう鳴いて、かわいい妖精達をこわがらせるうるさい梟を追い払って来ておくれ、頼みましたよ、みんなで手分けしてね……>

 

 

  six purte huit

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