My Fairy King

   

 

 

 妖精王は僕らが僕らの世界に帰る事を禁止したわけではなかった。

僕らは妖精の小道を通って、ひょっこり家に帰った。妖精国では数日が過ぎていたから、さぞ母さんと父さんが心配しているだろう。

 僕らが家の方へ歩いていくと、庭で母さんが洗濯物を取り込んでいた。

僕らは急になつかしい様な気分になって、(実際僕らは数日を知らない場所で過ごしたんだから)走っていって、

笑いながら同時に母さんのウエストに抱きついた。

「ただいま!」

「お帰りなさい、……まぁまぁ、二人ともどうしたの? やけに甘えんぼさんね。お魚とれた?」

 母さんは笑いながら、僕らを抱き締めてくれた。僕らは顔を見合わせた。

「僕たちね、……」

 妖精王の事を話そうとしたら、弟に口を塞がれてにらまれた。

 説明する必要は無かった。僕らの世界ではほんの数時間しか過ぎていなかったのだ。

そしてその数時間は確かに、僕と弟の間から何かを奪ったのだった。

 

 

  quatre purte six

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