My Fairy King
4
僕はふわふわと漂っていた。柔らかな暗闇の毛布に、包まれて。
<お兄ちゃん>
弟の声がした。
<起きて。僕たち、フェアリー・ランドにいるんだよ>
弟は、とても嬉しそうだった。フェアリー・ランドはあったんだ。僕は嬉しいような悔しいような、不思議な気持で瞼を持ち上げた。
弟が見えた。赤い花が沢山。それから、──────とても美しい人。おそらくは男性だろう、中性的で高貴な顔立ちの、白鳥の翼を背負う人。
僕は起き上がった。
「お兄ちゃん! 僕たち、フェアリー・ランドにいるんだよ!」
弟は嬉しそうに飛び付いてきた。僕は驚いて、言葉が返せ無かった。
「ようこそ、この世界へ」
妖精王。美しく力強く、不思議なこの男は妖精王だ。僕はそう感じた。
「小川へ連れていってやろう。おいで、二人とも」
「やったぁ!」
弟は妖精王の右腕に飛び付いた。楽しそうに笑う弟を見ながら、僕は何かが胸につかえた。それを無理矢理忘れて、僕も二人を追い掛けて走り出した。
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