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BASEBALL

MLB Column from East

ステロイド時代 「汚染」の指標を日本に当てはめたら……

李啓充=文|text by Kaechoong Lee
photograph by Tamon Matsuzono

2008年1月8日


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李啓充
'80年京都大学医学部を卒業し、'90年に渡米。2002年、ハーバード大学医学部助教授を辞して、文筆業に専念。松坂・岡島が加わった'07年レッドソックスのワールドシリーズ制覇を描いた「怪物と赤い靴下」(扶桑社刊)が好評発売中
 元民主党上院院内総務ジョージ・ミッチェルが12月13日に発表したMLB薬剤汚染についての報告書によると、メジャーにおける薬剤汚染は「10年以上続いてきた」とされている。

 いったい、いつから薬剤使用が始まったかを正確に同定するのは難しいが、薬剤使用の「先駆者」ホセ・カンセコがステロイドのおかげでア・リーグMVPになったのは1988年だから、80年代末以降、徐々にメジャーに蔓延したと見てよいだろう(ちなみに、'88年という年は、ソウル・オリンピックの100m走でベン・ジョンソンが9.79秒という「驚異的世界記録」を達成した直後ドーピング違反で失格する大事件があった年でもあった)。その後'98年マーク・マグワイア、'01年バリー・ボンズのシーズン最多本塁打記録更新、'03年ロジャー・クレメンスの通算300勝達成、'03年エリック・ガニエの連続セーブ記録更新、'07年ボンズの通算本塁打記録更新と、汚染「スター」選手による大記録達成が相次いだが、メジャー「全体」で見た場合の薬剤汚染の実態を簡便に示す指標とされているのが、本塁打量産率だ。

 図1に'71年以降今季までの「1試合当たり本塁打数」の経年変化を示したが、メジャーでは、'93年までの23年間、1試合当たり本塁打数が2を超えたのは'87年の1回だけだった。しかし、最近は、'94年以降昨季まで連続で2を超え続け、ここ14年間の本塁打量産率の高さは、メジャーの長い歴史の中でもとりわけ際立っている。この時代が「ステロイド時代」と呼ばれる理由が数字でも明らかとなっているのである。


 ここで、「メジャーでは'04年以降罰則を伴うドーピング検査が実施されているのになぜ本塁打量産率が減らないのか?」と疑問に思われる読者もおられるだろうが、たとえば、ヒト成長ホルモンは現行の尿検査では検出が不可能である。また、ステロイド系統の薬剤にしても、ボンズ等がかかわったバルコ社スキャンダルの主犯、ビクター・コンテ(元バルコ社社長)によると、最近は「速効性」テストステロンの使用が主流であり、現行の検査頻度で検出することはまず不可能であるという。つまり、検査で引っかかるような選手はよほど「運が悪い」か「頭が悪い」かのどちらかであり、「現行ドーピング検査は知能指数の検査」と言われるゆえんとなっているのである。

 ところで、日本プロ野球(NPB)での薬剤汚染の可能性について、球界関係者が「メジャーと違って日本の選手は使っていない」と自信たっぷりに発言しているようだが、本塁打量産率の指標をNPBにあてはめたらどうなるだろうか? 図2に、'91年以降の本塁打量産率を示したが、NPBで、1試合当たりの本塁打量産率が漸増し始めたのは90年代末以降である。今回のコラムでは、メジャーにおけるステロイド時代の基準として「1試合当たり本塁打数2」という数字を採用したが、NPBでは'01年以降'05年までの5年間、2を超える時代が続いた(ピークは'04年の1試合当たり2.45本)。ところが、ドーピング検査が始まった途端、1試合当たり本塁打数は'06年1.72、'07年1.69と、ピーク時と比べて3割も激減、「減り方の激しさ」が際立った。


 というわけで、本塁打量産率という数字をステロイド時代の指標として日本の状況を見た場合、1)日本でも90年代末以降'05年までステロイド使用が蔓延した、2)日本の場合、'06年以降のドーピング検査導入が薬剤使用に対する強力な抑止効果をもたらした、とする仮説が成立するのである(あくまでも「ここに述べた二つの仮説が成り立つ余地がある」と可能性を指摘しているだけであって、「これら二つの既述は事実である」と決めつけているわけではないので、注意されたい)。

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