■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 2003/4/9 No.179 週刊メールジャーナル 読者数8744人(前回) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ●坂井議員事件の奥深い背景 〔会員制経済情報誌『現代産業情報』4月1日号(No.481)より転載〕 連日洪水のように報じられるイラク戦争で、他のニュースは紙面の片隅に追 いやられてしまった。 政治資金規正法違反で初めての現職国会議員の逮捕となった、坂井隆憲衆院 議員の事件も同様である。 「しかし、これで坂井事件が終わったと思っている社会部記者は一人もいな いはず。4月の統一地方選が終了すれば新たな展開があるのは必至だ」(複数 の社会部記者) 坂井容疑者の裏献金事件の発端となったのは、1月9日に経営コンサルタン トの忠村吉朗被告が、2億円にのぼる脱税で、東京地検特捜部に逮捕されたこ とだった。 2億円のコンサルタント料を払っていたのは、今回の裏献金事件のもう一方 の当事者である「日本マンパワー」の小野憲会長だ。 「忠村はコンサルタント料の支払いをめぐって小野と訴訟沙汰になったこと もある」(関係者) それはともかく、注目されるのは、坂井容疑者と忠村容疑者に関して、3月 8日に共同通信が配信した記事である。 同記事は、裏献金事件で新潟県のパチンコ店経営者から忠村被告に1000 万円の不明朗な支出があったとして、次のように報じている。 「パチンコ店経営会社の社長は、坂井容疑者に銀行への融資口利きを依頼し たことがあり、東京地検特捜部は1000万円が坂井容疑者あてだった可能性 があるとみて、捜査を進めている模様だ。関係者によると、パチンコ店経営者 の社長は、約5年前、事業拡大のため融資を受けられるよう、坂井容疑者に都 市銀行への口利きを依頼。結局融資は受けられず、社長は『先生は役に立たな かった』と周辺に話していたという」 この記事によって、新潟県内にあるパチンコ店が一挙に注目されることにな ったのだが、実は同店は特捜部の家宅捜索も受けているといわれる。 「このパチンコ店とは、新潟県上越市に本社を置いている三井企画(三井慶 昭社長)のことだ。同社は新潟県下ばかりでなく、関東周辺でも店舗を展開し ている大手」(消息通) 民間調査会社の資料によれば、昭和48年に創業された三井企画の資本金は 約3億7000万円で、年間の売上高は300億円に達している。 「ピーク時には、同社の年間売上高は400億円を記録したこともあった。 しかし、不採算の店舗を閉鎖したり、不況による客単価の低迷も大きく影響し て、売上はこの2〜3年落ち込んでいる」(企業調査マン) 三井企画のホームページによると、同社は新潟県内の他に山梨県甲府市、千 葉県の野田市や流山市、群馬県前橋市、さらに都内江戸川区で直営の店舗を経 営している。 また、パチンコ店以外でもカラオケ店、飲食店、不動産業などを手掛けてい るという。 いずれにしても三井企画と坂井容疑者の関係はともかく、捜査の進展によっ ては、他の政治家との関連が浮上しないとも限らない。 と同時に、関係者の間で注目されているのが、「綜合研究所」という任意団 体の存在である。 「確か、綜合研究所は佐藤政権時代に反共を目的として作られた、今でいう シンクタンクだった。佐藤元首相が亡くなった後、それを引き継いだのは田中 龍夫元通産相だったが、既に田中氏も亡くなってから相当経っており、同研究 所が活動しているという話は聞こえてこない。もともと任意団体なので、はっ きりしたことは分からない」(ベテラン秘書) その綜合研究所の存在が俄かにクローズアップされたのは、忠村被告が同研 究所に深く関わっていたからだ。今回の裏献金事件で同研究所に連なる人脈が 炙り出されているのだ。 今のところ裏献金事件は軽量級の一代議士の逮捕で中断しているが、根はも っと深い所にあるのかもしれない。 〔編集後記〕 本誌関係者によるバグダッドからの通信が途絶えて3日目になるが、まあ心 配は無いようだ。 それにしても、この国のマスメディアは連日の報道で一体何を伝えようとし ているのか。一向に分らない。 報道というものは、現実を見つめる視点が違えば、俄然、“訴える”目的が 変わってくる。 カタールのBS・TV「アルジャジーラ」と比較視聴してみれば歴然だ。日 本のマスメディアには“主張”が無い。メディア間の違いも無い。 なぜなのか。 メディア関係者に聞くと、「広告が唯一の収入源である以上仕方がない」と 言う。「では、アメリカのマスメディアのように堕落してもいいのか」と聞き 返すと、一様に黙ってしまう。 だから、この国の対米外交方針が「これでいいのかどうか」、一向に真剣な 議論にならない訳だ。 4月13・27日の統一地方選は、行き詰まった“小泉改革”を、国民の身 近な視点から、「も一度掘り起こしてみよう」という、重大なチャンス。 訳の分らない戦争報道よりも、この選挙の投票率を下げないよう、もっと努 力してほしい。 なお、本社は会員制経済情報誌『現代産業情報』(法人、個人)の購読希望 をお取次ぎいたします。 ___________________________________ このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』を利用して発 行しています。( http://www.mag2.com/ ) 配信を希望または中止されたい 方はこちらでどうぞ。 http://www.mail-journal.com/touroku.htm ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 週刊メールジャーナル 2003年4月9日 第179号(水曜日発行) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 編集発行人:川崎 明 / 発行所:メールジャーナル社 〒130-0026 東京都墨田区両国2-1-4 第2西村ビル303 ホームhttp://www.mail-journal.com/ メールadmin@mail-journal.com 転載・再配布等には事前にメールジャーナル社に許可をお取り下さい。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ |