広島県坂町は四月から、消防庁の「全国瞬時警報システム(J―ALERT)」による地震や津波などの緊急情報を、防災行政無線を通じて一斉に住民に発信するシステムを始める。県内の市町では初めて。
昨年二月に始まったシステムは、津波などの災害情報のほか、大規模テロ、弾道ミサイル飛来など十八項目の情報を人工衛星経由で各自治体に一斉配信する。自治体の端末が受信すると、無線を自動起動して内容を音声で流す。人手を介さず住民に知らせることができるのが特徴。
坂町は、役場内の無線室に衛星モデムなどを設置。パソコンで町に関係する情報に絞り込み、町内二十八カ所の屋外スピーカーから音声を流す。
情報は、大きな揺れが来る数秒から数十秒前に知らせる気象庁の「緊急地震速報」を含む。坂町の場合、震度4以上の地震が予想される際、発生を知らせるメッセージを流す。無線の更新に合わせて導入した。総事業費は約一億六千六百万円。約七千万円は、国のまちづくり交付金などを充てる。
システム導入は財政難などを理由に全国で進んでおらず、県内では広島、呉、廿日市の三市と海田町が新年度中の導入を検討。坂町の吉田隆行町長は「一刻も早い導入が被害軽減につながると判断した。有効活用したい」と話している。(久保田剛)
【写真説明】新年度から緊急地震速報などを受信して地域に流す坂町の無線室
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