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学校裏サイト:文科省、ネットいじめ対策で調査へ 書き込み、詳しく分析

 文部科学省は、いじめの温床にもなっていると指摘されるインターネット上の掲示板「学校裏サイト」の実態調査を始めた。学校裏サイトは子どもたちが情報交換のために立ち上げた掲示板で、匿名性を背景にひぼう中傷の書き込みがエスカレートしがちだ。文科省は「子どもたちのネット利用を見守る体制を作りたい」と実態調査後の対策案の策定も検討しており、3月末までに調査結果をまとめる方針。【高山純二】

 全小中高校生を対象にした文科省の06年度いじめ実態調査(昨年11月公表)では、初めてパソコンや携帯電話でひぼう中傷や嫌がらせなどを受けた例を聞き(複数回答)、全体の3・9%にあたる4883件で「ネットいじめ」があったことが判明。顔写真とアダルト画像を組み合わせた合成写真が掲示板に掲示されるケースも報告されたという。

 ネットいじめを巡っては、毎日新聞の取材で、実名や携帯電話の番号を公開されたうえ、「うざい」「カンニングしている」と書き込まれ、無言電話や中傷メールの被害に遭い、不登校になった男子高校生がいることが分かっている。また、知らない男からわいせつな電話がかかり、自宅のチャイムが鳴るなどストーカーまがいの行為をされた女子高校生の被害も明るみに出るなど、いじめ以上の問題に発展するケースが出ている。

 一方、携帯電話各社は昨年12月、出会い系など有害サイトへの接続を制限する「フィルタリングサービス」について、契約者が未成年の場合は、従来の任意加入から原則加入とする方針を表明した。しかしフィルタリング機能だけでは学校裏サイトへの接続制限に限界があり、ネットいじめを解決する「即効薬」にはなりそうもない。

 このため、裏サイトの実態に基づく対応策が求められているのが現状だ。文科省青少年課は「どんな書き込みがあるのか一つ一つ当たっていき、次の対策を練らないといけない」と説明している。

 文科省はすでに大学教授やNPOの協力を得て調査を開始。学校裏サイトの総数のほか有害情報と判断する具体的な基準を作り、書き込み内容を詳細にチェックしている。

 ◇抑止効果を期待--ネット上でいじめなどの悩みを聞く活動をしている「全国webカウンセリング協議会」の安川雅史理事長の話

 今まで「氷山の一角」しか見えていなかったものが明らかになる。また、大人たちが調査を始めれば、子どもたちへの抑止効果も生み出すだろう。ただし、すべての学校裏サイトを調べることは不可能。実態を知っている子どもたちを調査に参加させるなど、手法を工夫すべきだ。そうしなければ、せっかく調査しても本当の実態が分からない恐れもある。

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 ■ことば

 ◇学校裏サイト

 各学校の公式ホームページとは異なり、子どもたちが管理しているインターネット上の掲示板やブログ。主に携帯電話を使って接続し、ハンドルネーム(ネット上の名前)を使って書き込みをすることが多い。接続にパスワードが必要なサイトもあり、いじめの確認が難しい例も出ている。

毎日新聞 2008年1月7日 東京朝刊

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