教授と気軽に耐震改修相談 東北工大が窓口設置
 | 木造住宅のモデルを使い、耐震構造の仕組みを市民に説明する田中教授(右) |
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宮城県沖地震などに備え、住宅やオフィスビルの耐震改修などの防災対策を促進させようと、東北工大(仙台市太白区)は「防災ドクター相談コーナー」を昨年12月、青葉区の同大一番町ロビーに開設した。敷居の高いイメージがある大学が門戸を広げ、建築学科の教授らが市民の相談に応じて地域貢献を図る。担当教授は「研究活動などを通じて培ったネットワークを活用し、幅広い質問に答えたい」と利用を呼び掛けている。
市民から電話で予約を受け付け、田中礼治教授(耐震工学)と大沼正昭准教授(建築構造学)が面談する。相談料無料。
相談内容は老朽化した住宅、ビルを耐震補強する方法や、改修をする際に受けられる税制上の優遇措置、補助金制度など。建物を支える構造部材に限らず、家具の転倒防止や落下物対策を含めてアドバイスする。地域の再開発や街づくりに取り組む人々に知っておいてほしい防災上の知識も伝授する。
田中教授は鉄筋コンクリートの建造物に関する耐震設計などを専門に研究する一方、宮城県建築士会と連携し、県内の中学校で木造住宅の耐震診断などをテーマとした授業を実践している。県や建築関係の団体などで組織する「県建築物等地震対策推進協議会」の会長も務める。
田中教授は「耐震性能に関する研究は年々レベルアップしている。行政機関などと築いたネットワークも生かし、社会に向けて成果を還元したい」と語る。
仙台市は1981年の建築基準法改正より前に建てられた木造住宅の耐震改修に関し、限度額を60万円として補助金を出している。しかし、対象となる約7万3000戸のうち、改修が行われたのは783戸にとどまる。
町内会や自主防災組織などの活動が活発な地域は改修が進んでいるが、コミュニティーの結び付きの強弱によってばらつきが生じているという。
相談コーナー開設は地域全体の防災意識を高め、耐震改修実施率のむらを減らすのも狙いの一つとしている。
連絡先は東北工大一番町ロビー022(723)0538。