ベンチャー革命2004年6月12日
山本尚利
タイトル:誰かに支配される日本の経済
1.日銀券図柄の不思議
日本銀行の株(出資証券)の40%は国際金融資本が所有していると聞きます。認可法人の日銀が発行する紙幣は千円札、五千円札、一万円札が中心です。千円札には夏目漱石、五千円札は新渡戸稲造、一万円札は福沢諭吉の肖像が描かれています。夏目漱石は、ロンドン留学経験者で小説家でした。西欧価値観と日本価値観の狭間で悩みぬきノイローゼになったと聞きます。新渡戸稲造は、日本古来の武士道を英訳して、日本価値観を世界に知らしめようとした学者です。一方、福沢諭吉は、明治維新後、西欧民主主義を信奉し、封建的日本国民を啓蒙しようとした文化人・政治家です。3人とも、明治の国際派日本人でした。ところで話し変わって、米ドル札にはピラミッドの先端の奥から独眼(ルシファーの目)がこちらをじっと見ているという不気味な図柄が描かれています。日本の千円札にも、一万円札にも、似たような目のマークが描かれています。五千円札にも、よくみると目立たないように同じ目のマークが入れられています。何か意味あるマークです。非常に気になります。さてお札に採用されている3人について考察すると、夏目漱石は西欧文化に圧倒された小説家、福沢諭吉は西欧民主主義礼賛者ですが、新渡戸稲造は武士道を通じて日本人のアイデンティティを世界に広めようとした学者です。上記の二人とは異質です。新渡戸稲造の首の上脇には、鋭い刃が描かれています。今にも斬首されそうに・・・。また、五千円札の図柄のみ、天皇家の家紋、菊の紋章が真っ二つに裂かれ、その真ん中に、隠れてアノ目が据えられています。日銀はなんでわざわざ、こんな不謹慎な図柄を採用しているのでしょうか。さらによくよく考えてみるに、なぜ、日本のお札に天皇の肖像が使われていないのでしょう。日本は敗戦国だからでしょうか。たとえば北朝鮮ではいたるところに将軍親子の肖像が飾られており、当然、北朝鮮のお札にも採用されているでしょう。米国はワシントン大統領、英国はエリザベス女王がお札に採用されていると記憶しています。このことから日本銀行は天皇を載せないお札デザインを通じて日本を統治しているのは天皇ではないよと暗にメッセージを送っているのでしょうか。
2.円とドルの癒着
国際金融用語に「不胎化介入」(Sterilized Intervention)という言葉があるそうです。日銀が外国為替市場に介入して、金融市場の需給変化効果を封殺することだそうです。金融自由化といっておきながら、肝心なところで、中央銀行は金融市場の自由競争を封殺するわけです。つまり、金融市場の競争はプロレスのように八百長ゲームにすぎない。悪く言えば、マフィアに仕切られるカジノに等しい。日銀の不胎化介入のオモテむきの理由は、金融システムのクラッシュを防止することですが、まさに両刃の剣で、恣意的操作の特権が中央銀行に認められているわけです。ちなみにSterilizationとは、不毛化と言う意味で、反対語はFertilization、肥沃化です。もし、日銀人事を支配できれば、日本経済を遠隔で自由に操作できる理屈です。米国の対日貿易収支の赤字が増大し、日本の対米貿易黒字が増大すれば、米ドルの国際市場価値が下がり、円の国際市場価値が上がるはずです。ところが、日銀の不胎化介入というウラワザによって、中央銀行による人為的操作が行われ、ドルの暴落は起きないのです。ドル相場を守りたい人が日銀をウラから支配できれば、少なくとも円ドル為替相場は自由に操作することができます。米国にとって、自国の経済を死守するため、ドル為替操作に協力しない国は放置できない理屈になります。その結果、超親米の小泉政権の下、円とドルは見事に癒着しています。日本は、日銀のドル買いオペや民間法人のドル資産を含めて、公私に渡って、3兆ドル以上のドル資産を保有しているといわれています。だから国際金融資本が日銀の大株主となるのは無理もないです。ところで日銀券の図柄デザインから見る限り、日本のお札は日本人の手によるシロモノとは思えません。さて、国際競争に明け暮れる日本のグローバル企業は、円ドル相場が企業収益に大きく影響します。企業経営者にとって円ドル為替はアンコントロラブルです。だから中央銀行の恣意的操作によって、間接的に企業収益が左右されるのはたまりません。
さて米国の中央銀行FRB(連邦準備委員会)は20世紀初頭に、ジョージア州ジキル島にある国際金融資本オーナーの別荘で設立されたそうです。FRBは設立当初から国際金融資本のオーナーの私有組織だったのでしょうか。今回の、G8サミットが、ジキル島に近い、シーアイランドで開催されたのは偶然でしょうか。そこに出席した小泉首相が持ち帰った宿題は、「郵政民営化」の促進でした。郵便貯金と簡易保険は、日本政府が自由に使える金融システムです。だから日銀の株主である国際金融資本のオーナーには非常に魅力的な金融システムなのです。
3.国際金融資本のオーナーが嫌いなもの
日銀の株主である国際金融資本のオーナーが嫌いなものは何でしょうか。まず、どうも菊の御紋が嫌いなようです。菊の御紋を真っ二つに裂くようなデザインのお札を平気で流通させる神経はどうなっているのでしょうか。日本人に民主主義を信奉させるには天皇制は妨げになるし、西欧にない伝統は気にくわない。今、天皇家は皇太子の「人格否定」発言で宮内庁とギクシャクしています。誰が皇太子の最愛の人を侮辱しているのでしょうか。どこかに皇太子を人格否定する輩が潜んでいると言うことです。天皇家の将来は非常に不透明となっています。皇太子はその危機を肌で感じているのでしょう。次に、かのオーナーは、三菱のマークが嫌いなようです。スリーダイヤは戦艦大和(IHI製)や戦艦武蔵(三菱製)やゼロ戦を連想させるからです。日本人に再び、攻撃用兵器を作らせたくないのでしょう。三菱ブランドはなんとしても貶めたい。三菱自工はダイムラー・クライスラーに一時乗っ取られ、挙句の果て、欠陥隠しの企業犯罪発覚で、日本人の脳裏に刷り込まれた栄光の三菱ブランドは今、大変な深傷を負っています。一方、福沢諭吉は西欧的価値観の伝道者であり、彼らにとって好ましい日本人(脱亜入欧論を西欧かぶれと誤解?)でしょう。だから一万円札に載せて祀られていると言えます。小泉首相も、竹中金融大臣も福沢諭吉の後輩である。偶然でしょうか。その共通項は慶応義塾大学。慶応大学といえば設立当初、キリスト教宣教師を教授に迎えたハイカラ大学であったのです。
4.日本人は支配される喜びもある?
筆者はかねてから、日本人の多くはBelonger(ビロンガー、寄らば大樹を好む性質)であると思っています。日本人(成人)の80%はビロンガーであると信じています。したがって、日本人の大半は、誰かを支配するより、本来、誰か強い者に支配されたい民族なのかもしれません。戦後の日本人は、もはや天皇の下の臣民であるという呪縛からは解放されています。アメリカという世界最強の覇権国家に庇護されている(実は錯覚)に満足している人が非常に多いのです。極論すれば、米国に支配されることにあまり心理的抵抗がない日本人が多く、今や多数派を占めています。この本能はアジア人にも共通しています。ちなみに、筆者の関与するSRI(スタンフォード研究所)はかつてシンガポールにオフィスがあり、英国オックスフォード大学出身の白人インテリが仕切っていました。ところが、彼が他社に引きぬかれたとたん、オフィスの統制が崩れて閉鎖となりました。この例のように植民地主義に馴らされたアジア人は白人コンプレックスがあり、白人がリーダーの方が、はるかに統制がとれる場合があるのです。さて、日本人が誰かに支配されることが避けられないと観念した場合、日本人は同じ顔のアジア人に支配されることには感情的抵抗のある人が多いでしょう。逆も言えます。アジア人は日本人にだけは支配されたくないと思っています。日本人を含めてこの人たちは、その代わりミテクレのよい白人の支配には喜んで従うでしょう。だから、どうせ支配されるなら同一人種の中国よりも異種人種の米国がよいのです。まさに脱亜入欧の遺伝子は相変わらず強い。そのため、仮に日銀が国際金融資本に支配されても、外人が懸念するほど、大半の日本人に感情的な抵抗はないのです。奴隷にされても、奴隷にされたと感じないほど鈍感な子羊人間です。もちろん、民族主義の国士的日本人も少なくありませんが・・・。逆に、米国経済を日本人が支配したら、米国を牛耳る白人は死んでも許さないでしょう。彼らは誰かに支配されることを絶対に許さない。相手を殺すまで・・・。だから彼らは常に支配する側にまわろうとする欲求が日本人の想像をはるかに超えて執拗に強いのです。彼らは、常に、支配するか、それとも支配されるかの二者択一(キング&スレーブ)で勝負を賭けて行動するのです。ここから弱肉強食の競争原理が生まれるわけです。能天気のビロンガー日本人とは大きく異なります。
山本尚利(ヤマモトヒサトシ)
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