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主張救急医療充実させる年に

公明新聞:2008年1月8日

公明、対策推進法案の提出めざす

大都市の弱点露呈

 大阪府東大阪市で2日夜、交通事故に遭った男性が府内の五つの救命救急センターから「満床」などを理由に受け入れを断られ、事故から約1時間後に運び込まれた六つ目の救命救急センターで死亡する事件が起きた。

 救命救急センターといえば、生命の危機に瀕した人の救命を目的に、24時間体制で診療を行う3次救急施設である。通常なら2、3施設目までに搬送先が決まり、5施設も断られるのは極めてまれという。大阪府では昨年(2007年)12月25日にも、体調不良を訴えた富田林市の高齢女性が計30もの病院(2次救急施設)に受け入れを断られ、死亡するケースがあったばかり。大都市の救急医療体制の弱点を改めて露呈したといえる。

 東大阪市の交通事故では、救急隊員が事故現場に最も近い府立中河内救命救急センターに電話したところ、脳挫傷の患者を治療中で、別の肝不全の患者も運ばれる途中だったため、搬送を断られた。そこで救急隊員は現場から近隣の四つのセンターに電話したが、見通しが立たず、再度、中河内救命救急センターに電話。この時は2人の治療がまだ続いており、再び断られた。当直医は通常の夜間と同じく3人が勤務していたが、同時に診察可能な重度の患者は2人が限界という。

 しかし、同センターによると、2度目の要請から2分後の午後10時55分には、患者の一人が救急処置室から集中治療室(ICU)に移され、処置室が空いた。要請が処置室の空いた後だったら受け入れの可能性がなかったとはいえないとされる。結局、交通事故患者が六つ目のセンターに運び込まれたのは同11時25分ごろと、大幅に遅れた。一刻を争う救急医療の現場で、消防機関と医療機関の連携がいかに重要かを痛感する。

 東京消防庁の災害救急情報センターでは、患者の受け入れが可能な病院や救急車の所在などを瞬時に把握。24時間常駐する救急隊指導医が、リアルタイムで現場の救命士に対し薬剤投与などの指示や、救命士では判断しきれない専門医療機関の選定に関する助言を行っている。こうした救急医療情報システム、メディカルコントロール体制の確立は、近年、特に都市部で救急出動件数が増加する中で、救急医療の質を確保するために必要といえよう。現在は東京都、横浜市など一部の地域でしか整備されていないが、今後、全国へ展開していくことが望まれる。

 また、搬送体制の強化も重要な課題だ。めざす医療機関にいかに早く患者を搬送できるかで救命率は大きく異なってくる。その意味で、広域でも専門医のいる医療機関まで迅速に、治療しながら搬送できるドクターヘリは、今後の救急医療の確立に欠かせない存在といえる。早期の全国配備・活用を促進していきたい。

来年度予算に反映

 公明党は、医療機関などの現場視察を踏まえ、昨年末、厚労相、総務相に対し、医師不足解消に向けた緊急派遣医師の確保や救急隊の搬送時間の短縮など救急医療の体制整備を要望。2008年度予算政府案に医師確保対策(161億円)、救急医療対策(100億円)の増額として反映された。さらに今年の通常国会に「救急医療対策推進法案」(仮称)の提出をめざしている。“一人の命を守る公明党”として、救急医療体制の確立へ本領を発揮する一年にしていく決意だ。

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