救助9時間最悪の結末、狭い横穴が作業阻む
作業員3人の救出作業が続く送水管工事現場(7日午後7時10分、北九州市八幡西区で)=足立浩史撮影
地下約13メートルの穴の中で何が起きたのか――。7日、北九州市八幡西区御開(おひらき)3の送水管敷設工事現場で男性作業員3人が死亡した事故。懸命の救出作業は穴の狭さなどに阻まれて約9時間にも及び、日付が変わるまで続いた。ライトで照らされた現場では、関係者がかたずをのんで救助作業を見つめたが、地中の暗闇からようやく運び出された3人は次々に死亡が確認され、願いは届かなかった。
市消防局によると、レスキュー隊員が横穴で3人を確認後、救急隊員と交代で救助活動に着手した。圧縮空気を詰めたエアボンベを装着しているが、約15分間で中の空気がなくなる。このため、隊員は地上につながる縦穴まで戻り、新しいボンベを着けた別の隊員が交代で横穴に入る作業を繰り返した。
また、穴の中では無線がつながらないため、ロープを引っ張ることが唯一の連絡手段。水がたまっている場所もあったが、排水用ポンプが故障しており、さらに作業を難航させた。
作業開始から約6時間が過ぎた午後9時すぎ、レスキュー隊員らが縦穴周辺をブルーシートで覆い、現場は緊迫した雰囲気に。同25分ごろ、脇山正一さん(58)が搬出され救急車で運ばれた。しかし同10時過ぎ、市消防局員が拡声機で「死亡が確認されました」と報道陣に伝えた。
午後11時半前には挽地(ひきち)保馬さん(59)、8日午前0時すぎには永松大輔さん(39)がそれぞれ運び出されたが、死亡が確認された。
現場では近くの住民らが救助作業を見守った。「まだ中に残っているのか」「なぜ起きたのか」と心配そうに話していた。