「やすらぎの里さくら館」の跡地に立つ慰霊碑。火災の犠牲者の霊を慰める花が供えられている

「やすらぎの里さくら館」の跡地に立つ慰霊碑。火災の犠牲者の霊を慰める花が供えられている

 大村市陰平町の認知症高齢者グループホーム「やすらぎの里さくら館」の火災から8日で丸2年がたった。入所者7人が犠牲になった惨事を教訓に、県内の認知症グループホームで消防設備の整備が進められてきた。しかし本年度末までにスプリンクラーの設置を終える事業所は全体の約3割にとどまる一方、県の補助事業は本年度で終わる予定だという。事業所側からは補助事業の継続を求める声が起きている。

 県長寿社会課によると、2006年1月の火災直後、県内のグループホーム334事業所のうちスプリンクラーを設置しているのはわずか3.9%(13事業所)だったが、本年度末には32.0%(107事業所)に上昇する見込み。消防署への緊急通報設備がある事業所も火災直後の46.1%(154事業所)が79.6%(266事業所)に達する見通しだという。

 県は06、07年度に消防設備補助費計約8500万円を計上。大村市も独自の補助事業で総額約900万円を支援する予算を組んだ。しかし厳しい財政事情もあって、県の補助事業は本年度で終了する予定で、同市の補助事業もいつまで継続できるか不透明だという。

 県認知症グループホーム連絡協議会によると、スプリンクラーの設備費は、定員9人の1施設で300万‐500万円と高額。同会の白仁田敏史会長は「公的補助がなければ、消防設備費を利用料に上乗せせざるを得なくなる。利用者の負担を増やさないためにも、県は補助事業を継続してほしい」と訴えている。

=2008/01/08付 西日本新聞朝刊=