愛知県一宮市は、四つある市立病院のうち赤字が深刻な一宮市民病院今伊勢分院と尾西市民病院を民間に譲渡する方針を固めた。今伊勢分院は07年度中に譲渡先を公募し、その結果を見て尾西市民病院も引き受け手を募る。実現すれば東海3県では、公立病院の民間譲渡は初めてという。
同市は05年に旧尾西市、旧木曽川町を編入合併し、一宮市民病院と同今伊勢分院のほか、尾西、木曽川両市民病院を運営してきた。しかし病院事業の累積欠損金が07年度末に50億円を上回る見込みとなり、まず今伊勢分院の譲渡を決めた。
同分院は07年3月末、不採算の一般診療科を閉鎖して精神科(156床)と外来歯科口腔(こうくう)外科のみに縮小したが、経営改善の見通しが立っていない。市は現在地で認知症を含む入院・外来患者の治療を継続することなどを条件に、施設売却も視野に譲渡先を募る。同市病院事業管理者の余語弘さん(79)=元小牧市民病院院長=は「地域医療確保の観点から、廃止でなく民間譲渡が望ましい」と話している。【井上章】
毎日新聞 2008年1月8日 中部朝刊