傷害容疑者を2年半放置 主犯格は死亡 京都・宇治署2008年01月08日03時08分 京都府警宇治署が05年6月、暴力団関係者6人に殴るなどされて重傷を負った30代の女性から被害届を受理し、直後に容疑者を特定しながらも、別事件の処理などを理由に約2年半も「放置」していた。その間に主犯格の男は事故死し、内部調査でミスが判明した同署は昨年11月、残る5人を傷害容疑で逮捕した。京都地検は「速やかな捜査をすべきだった」などと指摘する異例の文書を府警に示し、再発防止を申し入れた。 府警の調べなどによると、事件は05年6月6日未明、京都府宇治市内のカラオケ店の敷地内で起きた。来店していた暴力団組員の男らとの口論をきっかけに、被害者は全身を殴られたりけられたりして、あごの骨を折るなど2カ月の重傷を負った。 関係者によると、被害者は事件直後、宇治署に被害届を提出。同署から数回にわたり事情聴取を受けた。事件から約2週間後の6月下旬には、担当捜査員が被害者に名前を挙げて「容疑者を特定した」と説明したこともあったという。 しかし、その後は警察から被害者側への連絡も途絶え、捜査は「放置」されていた。府警は容疑者を特定しながら捜査を怠っていたことについて「担当者が日々の業務や別の事件の対応に追われ、事件の処理を後回しにしてしまった」と説明。昨年、同署が未処理事件の有無を調査した際に、この事件の被害届を改めて確認し、再捜査を始めたという。 主犯格の男は06年12月、交通事故で死亡していた。昨年11月に逮捕された5人のうち2人について、京都地検は同月末に傷害罪で起訴。この際、地検は捜査の遅れや容疑者の事故死に触れ、批判する文書を示した。 被害者は朝日新聞の取材に対し、暴行された際に財布に入れていた現金約10万円も無くなったと説明。事件直後の事情聴取で捜査員に訴えたが、「あいつらを知っているが、カネをとるわけない」などと言われたという。府警の姿勢について「最初からきちんと話を聴いて、もっと早く事件を解決して欲しかった」と話している。 こうした被害者側の主張を踏まえ、府警本部は改めて被害者から事情を聴くなど、事実関係の洗い直しを始めている。 宇治署の篠田耕作副署長は「相当な期間を要したことは事実だが、検挙している。今後は被害者感情を踏まえ、適切な捜査に努めたい」とコメントしている。 PR情報この記事の関連情報社会
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