ニュースセレクト

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

福岡3児死亡事故:今林被告に懲役7年6月 地裁判決

3児死亡事故の判決で愛子ちゃんを抱いて入廷する大上哲央さん(右)とかおりさん=福岡市中央区で2008年1月8日午前9時39分、矢頭智剛撮影
3児死亡事故の判決で愛子ちゃんを抱いて入廷する大上哲央さん(右)とかおりさん=福岡市中央区で2008年1月8日午前9時39分、矢頭智剛撮影

 福岡市東区の「海の中道大橋」で06年8月にあった3児死亡事故で、1~4歳の幼児3人を死亡させたなどとして危険運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元市職員、今林大(ふとし)被告(23)に対し、福岡地裁は8日、懲役7年6月(求刑・懲役25年)を言い渡した。危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)の成立を認めず、予備的訴因の業務上過失致死傷罪(同5年)と酒気帯び運転を適用した上でひき逃げと併合した法定上限とした。

 川口宰護(しょうご)裁判長は「相当時間にわたって脇見運転を継続した事実が認められる」と述べ、直接の原因を前方不注視とした。法務省によると、危険運転致死傷罪の成立を否定し、業務上過失致死傷罪を適用した1審の司法判断は異例。検察側は不服として控訴する方針。

 川口裁判長は危険運転致死傷罪の成否について、脇見運転をしていたとする今林被告の供述の信用性を認めた上で「酒に酔っていたことをうかがわせるが、判断能力を失ってはいなかった。正常な運転が困難だったとは認められない」と認定。そのうえで量刑について「飲酒での高速走行は危険極まりなく悪質で、今回のような重大な事故を起こすべくして起こした。厳しい非難を免れず刑事責任は誠に重大。処断刑の上限をもって臨むのが相当」と述べた。

 また、川口裁判長は事故約40分後の飲酒検知結果について、「呼気1リットル当たり0.25ミリグラムで、酒気帯び状態と判断した事情に照らすと、高度に深酔いしていたとは言えない」として検察側主張を退けた。

 事故直前の飲酒が、今林被告の運転に及ぼした影響が公判の最大の争点となった。検察側は、ビール350ミリリットル、焼酎540ミリリットルなどを自宅と飲食店で飲んでいたことや、飲食店での言動などの状況証拠から「相当の深酔い状態で、極めて危険かつ異常な運転をした。法が許す限りの最高刑で臨むほかない」と法定上限を求刑した。

 弁護人は、事故後の飲酒検知で、警察官が酒気帯びと認定した点を強調。「微酔程度で、運転困難ではなかった」と反論し、業務上過失致死傷罪の適用を主張、執行猶予を求めていた。

 地裁は昨年12月、予備的訴因として業務上過失致死傷罪と道交法違反(酒気帯び運転)を追加するよう福岡地検に命令。地検は訴因変更を請求していた。川口裁判長はこの請求を受け付け改めて結審。判決を言い渡した。【石川淳一】

 ▽危険運転致死傷罪 東京・世田谷区の東名道での飲酒運転による幼児2人の死亡事故(99年11月)を機に、01年12月の刑法改正で新設された。(1)正常な運転困難な飲酒や薬物摂取(2)制御困難な高速走行(3)割り込みや急接近などの妨害(4)信号の殊更な無視--が原因の事故で、死亡させた場合は1年以上20年以下、けがをさせた場合は15年以下の懲役が科せられる。06年の適用は全国で380件。

毎日新聞 2008年1月8日 10時20分 (最終更新時間 1月8日 11時39分)

検索:

ニュースセレクト アーカイブ一覧

 

おすすめ情報