東京都杉並区立和田中(藤原和博校長)が、大手進学塾「サピックス」と連携して行う予定だった夜間授業を巡り、都教育委員会は7日、「義務教育の機会均等の観点から疑義がある」として、杉並区教委に事実上中止するよう指導した。同中の新しい試みに都教委が「横やり」を入れた形だが、藤原校長は「公立中に通う子供の未来のためにも指摘をクリアし、実施したい」と開始を延期してもスタートさせる意向だ。
授業は「夜スペシャル」と呼ばれ、塾と学校が教材を共同開発。塾講師が同中教室を使い、希望する生徒に週3~4回、1万8000~2万4000円の月謝で、夜間などに数学、国語、英語の授業を今月9日から始める予定だった。
指導文書の内容は(1)参加方法、費用の負担等について義務教育の機会均等という観点から疑義がある(2)特定の私塾に学校施設を利用させることは営利性を疑わせ、学校施設の公共性に反する恐れがある(3)教材開発に校長及び教員が関与することは、公務員の兼業、兼職の適正な手続きの観点から疑義がある--の計3点。
井出隆安区教育長は「教育の地方分権が求められている今日、都教委の指導は極めて残念。区立校と地域の取り組みが実現できるよう支援する」と話している。【三木幸治】
毎日新聞 2008年1月8日 東京朝刊