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2008年01月06日

DNT、海外展開を加速
中国・天津で汎用拠点作り着手


大日本塗料(社長・山下文隆氏)のグローバル展開が加速している。今年度スタートの中期3カ年経営計画の柱に海外事業拡大を掲げており、成長路線の成否の鍵ともなっている。「最小コストで最大の効果」(山下社長)とのコンセプトでスピード感のある海外事業の構築を目指す。中国市場への進出パターンは独資・合弁・中国科学院との提携と変幻自在な形態をとる。またシンガポールをハブ拠点としてアセアン地域においてはタイ拠点の拡充が進む。その他メキシコへの拠点設立、更にインド市場進出も視野に入れる。同社の中期売上目標900億円、経常利益45億円達成を目指しているが、このうち海外事業収益は10億円を見込む。

前中計の「経営改善路線」から「成長路線」に180度舵を切った同社にとって、海外事業再構築は大きなテーマ。特に中国市場への「出遅れ」(山下社長)を挽回することが大きな命題となっていた。
中国市場には旧・田辺化学の上海拠点があり、ここの拡充とともに新たにアジスコに資本参加し、更に中国科学院・海洋研究所と提携し中日海洋防腐塗料発展中心を設立。工業用から汎用までカバーする生産拠点の核が確立された。
アジスコへの資本参加は40%だが、引き上げを予定するなど、汎用の拠点化を狙う。同社既存の広州拠点に加え、この11月には天津で新拠点建設に着手。来年7‐8月をめどに第1期としてエマルションペイントの生産を開始する。用地は3万5,000m<sup>2</sup>を確保しているため、2期以降についてもスケジュール化。華北エリアにおける日系合弁汎用生産の本格拠点は同社が初。またこれとあわせて販工店の組織作りをスタート、「販売と工事を一体としたネットワークを構築していく」(同)方針だ。


またユニークな進出形態となった中国科学院海洋研究所との合弁によるR&D活動が本格化し、事業テーマに沿った開発が進行中。「防食技術を中心とした技術テーマを設定し、スペック化していく方向」(山下社長)で、橋梁などの鋼構造物、プラント施設などの中国版・重防食仕様の確立を共同で進めていく。「スペックは中国科学院としてオーソライズされるので優位性がある。なによりも公的機関なので中国全土の防食に関わる情報が集まるメリットを最大限活用していきたい」(同)と中国における防食事業のトップランナーを指向する。


生産・供給に関しては青島拠点が中核で、既に防食関連製品の供給が始まっている。またR&D機能を支援するための営業ノウハウについても大日本側から注入していき、事業体としての強化を図る。
プラスチック用を含む工業用の拠点となる上海の星田辺化工は生産能力を拡充し、来年4~5月の稼働を予定する。日系の弱電メーカー、自動車部品メーカーの他、建材大手ユーザーに工業用を本格供給する。
アセアン地域ではシンガポール拠点の一元化を完了。DNTシンガポールとタナベケミカルの2拠点を統合し「DNTシンガポール」を設立。ここをハブ拠点としてタイ、マレーシア、インドネシアへの技術サービスを含めた支援を行っていく。特に力を入れているのが現地スタッフの教育。このためシンガポールを核とした研修体制の強化を進めていく。


タイの拠点はパバデンとレムチャバン2カ所、自動車用など工業用を主として供給してきたレムチャバン拠点の近くに新たに生産拠点を立ち上げ、タイ拠点を統合する。この新拠点を軸にタイ国内の他、ベトナムからマレーシア、インドネシアへの供給体制を作り上げる計画。
ここ数年同社のグローバル展開は「最小コストで最大の効果」を基本コンセプトに基盤作りと再編がなされてきた。その推進力となっているのが国内事業の大幅なリストラクチュアリング。「外科も内科も大掛かりな手術、そして血の入れ替えを行ってきた。3年間かかった」と前中計をふり返る。


このように健康体に近づいたことが海外事業を積極化する余力を生み出している。組織的にも事業部制とすることで「パイプを目詰まりさせていたもの」を除き、新たな収益基盤を目指した事業横断的なプロジェクトの立ち上げなど、成長エンジンに点火する方策を打っている。
またグループ内の蛍光事業や照明事業と塗料事業との連携による付加価値付与と差別化を鮮明にするとともに、これらの事業の海外展開を具体化する。既に蛍光事業は一部製品の中国での展開、照明事業は中国、米国への進出を計画。強い分野をより強化していく方向でのグローバル化が図られつつある。


「これまでわが社は行ったり来たりの形で危機に対処してきた。しかし今回は負の遺産を払拭するため、あらゆる手を打ってきた。まだ十分でないところ、例えばコスト競争力の強化などもあるが、ほぼ一巡した。内外に復活したDNTを示すためには遅れをとっていた海外事業で元気になることが鍵と言える」(山下社長)とコメント。


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