新生児集中治療室の満床対策、病床移行の調整役配置2008年01月08日06時05分 未熟児らを専門的に治療する「新生児集中治療室(NICU)」の満床状態が患者受け入れ拒否の一因になっているとして、厚生労働省は新年度から、NICUに長期入院している子どもの症状に応じて、小児科や福祉施設への移行を支援するコーディネーターを全都道府県に配置する対策を決めた。病床を空けるための「追い出し」にならないよう親の希望も聞きながら、子どもに適した療養環境を検討する。 厚労省は昨年暮れ、新年度からのコーディネーター配置を求める通知を出した。人件費の3分の1を国が補助する。補助要件は今後詰めるが各都道府県に1人ずつ、看護師やソーシャルワーカーらを置くことを想定。既存施設の有効利用のため、橋渡し役を担ってもらう。 昨年1月の厚労省調査では、リスクの高い妊婦や新生児に対応する全国58の総合周産期母子医療センターのうち回答施設の6割が、地域の病院などからの新生児の受け入れ要請を断ったことがあった。7割は妊婦搬送を断ったこともあった。いずれも理由の9割は「NICU満床」だった。 NICUは全国に5000床ほどあるが、平均入院期間は約30日。1年以上入院している子は約340人とされ、増加傾向にある。NICU利用は本来、体の状態が安定するまでで、その後は小児科病棟や重症心身障害児施設などの「後方病床」へ移ることになっている。 だが、厚労省研究班が医療機関を対象に行った06年度の調査では、NICUに1年以上入院している子のうち10%は小児科での治療がふさわしいとみられた。58%は重症心身障害児施設で、28%は在宅で、療養可能とみられるという。 このため厚労省は、関係者の理解不足や医療機関・施設間の連携不足、在宅療養の環境不備などが、NICUの不足の一因になっていると分析。コーディネーター配置で改善を図りたい考えだ。また都道府県に対し、NICUや後方病床の利用実態を調査したうえで、新たに必要な病床の整備計画を策定するよう指示。在宅療養を支援する訪問看護などを築くためのモデル事業も始める。 PR情報政治
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