以前、この番組でご紹介した福岡県大牟田市の「夢翔塾」、様々な問題を抱えた子どもたちの駆け込み寺です。
新しい仲間も加わり、にぎやかになった夢翔塾のその後の生活ぶりを取材しました。
「夢翔塾」の代表として、問題を抱えた子どもたちの居場所作りに取り組んでいる川野弘樹さん(36歳)。
川野さん自身、かつては、札付きの非行少年でした。
一度はヤクザの世界にも足を踏み入れた川野さんですが、周囲の人たちが薬物中毒などで命を落としていく現実を目の当たりにし、自らの生き方を見つめなおしました。
そして、看護師やカウンセラーの資格を取り、活動のためのNPOも立ち上げました。
この日は、福岡市内の中学校のPTAから依頼を受け、保護者向けに講演を行いました。
非行やいじめ、不登校…子どもたちにどう接していいかわからず、悩んでいる親は多いのです。
川野さんは、自分の生い立ちや経験を通して、子どもたちの居場所作りの大切さを訴えました。
今年の夏、夢翔塾は、寮を引越しました。
去年、寮に住み込んで生活をしていたのは、政和君と進一君の2人でしたが、現在は、7人。
部屋も広くなり、にぎやかになりました。
庭では、キャッチボールやバーべキューだってできます。
政和くん。
寮での生活はもうすぐ2年、一番の先輩です。
今年2月の高校入試の前日。
政和くんは受験のプレッシャーで突然、寮から逃げ出し、一時は、どうなることかと川野さんに心配をかけました。
しかし、その後、母親の仕事と同じ看護師になるという夢を見つけ、高校に再挑戦することになりました。
今、受験勉強の真っ最中です。
ことし寮生活の仲間に加わった、イサムくんとキョウヘイくん。
2人とも中学2年生です。
2人とも、夢翔塾に来ておよそ半年。
ほとんど、中学校に行ったことのなかった2人が、今は毎日、楽しく学校に通っています。
夢翔塾での生活は当番制です。
週ごとにリーダーを決めて、お風呂掃除や庭の草取り、洗濯物の片付けに、食事の準備など、すべて自分たちでやります。
全員そろっての夕食。
みんなが一番楽しみにしている時間です。
食べ盛りの男の子たちが7人。
一日、1升以上をペろりとたいらげます。
最近は、講演活動の回数も増えてきました。
この日は、定時制高校の学生を前に人権と進路について話しました。
大牟田の定時制高校を卒業した川野さん、昔の自分を思い返し、悩みを持つ学生たちがいれば少しでも力になりたいといいます。