市川亀治郎が東京・浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」に出演し、初役3役を演じている。昨年はNHK大河ドラマ「風林火山」の武田信玄役のため、浅草への出演はなく、「古典歌舞伎で2年ぶりに帰ってまいりました」と意欲を見せている。
第1部(午前11時)が「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」のおとく、「弁天小僧」の忠信利平(ただのぶりへい)、第2部(午後3時)が「金閣寺」の雪姫だ。
おとくは言葉にハンディのある絵師、又平(勘太郎)の妻。「夫を気遣うあまりに出しゃばってしまう。情の通った、やりがいのある作品です」
雪姫は女形の大役と言われる三姫のひとつ。大先輩の中村雀右衛門の教えを受ける。
「深窓に育った人物ですから、僕がこれまで演じてきた袖萩(奥州安達原(あだちがはら))や玉手御前(摂州合邦辻(がっぽうがつじ))に比べると、しどころは少なく、その中で表現しなければなりません。役者としての財産を増やすつもりで務めています」
大河ドラマ出演で、さまざまなジャンルの「個性の強い俳優」と共演できたことが大きな成果だったという。「これからは、やりたいもの、やらなければいけないもの、やるべきことを見極めてバランスよく仕事をしていきたい。もちろん古典の継承も、重要です」。4月には日生劇場で「風林火山 晴信燃ゆ」に主演する予定だ。
浅草歌舞伎は27日まで。問い合わせはチケットホン松竹(03・5565・6000)へ。【小玉祥子】
毎日新聞 2008年1月7日 東京夕刊