パレスチナに母子手帳 JICA協力で配布2008年01月07日 紛争が続くパレスチナ自治区全域で今月から、日本の母子健康手帳をお手本にしたアラビア語の手帳が妊婦に配られている。国際協力機構(JICA)などが協力し、パレスチナ保健庁が2年半前から準備していた。かかりつけ医以外の病院で緊急に出産せざるを得なくなった場合でも、手帳があれば安心だ。現地では「命のパスポート」と期待されている。 手帳には、血液、尿検査や腹囲など妊婦健診の結果に加え、子供の成長の記録が5歳になるまで記載される。イラストを多用し、夫婦で話し合って出産、育児の準備ができるよう工夫した。 イスラエルを挟みヨルダン川西岸地区とガザ地区の二つに分かれたパレスチナ自治区の人口は約370万人で、うち約160万人が難民だ。もともと医療水準は高く、妊産婦死亡率と5歳以下の乳幼児死亡率は、さほど悪いわけではない。 しかし、自治区内にある入植地へのテロ犯の侵入を防ぐためイスラエルが建設を続けている分離壁や、各地に設けられた検問所のため主要道路は分断され、パレスチナ人の移動は厳しく制限されている。このため妊婦が通い慣れた病院や保健所に行けなくなる事態が頻繁に起き、検問所の列を待つ車の中で出産したケースもあるという。 05年から現地に派遣され、ヨルダン川西岸地区の2カ所でモデル的に手帳の普及事業に携わっていたJICAのチーフアドバイザー、萩原明子さん(44)は「ユニセフなどパレスチナで活動している多くの国際機関や地元のNGOの協力で、政治的な対立を超え、自治区統一の手帳制度が実現した」と話す。 自治区内で1年間に生まれる子供は約10万人。初年は日本政府の資金援助で作った12万冊の手帳を用意している。
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