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連載「巨大都市の憂鬱」(1)中国のエッフェル塔 模倣タウンに広がる矛盾 (2/2ページ)
このニュースのトピックス:中国
上海は租界時代、英国や米国、フランス、日本など外国の企業によって世界有数の都市に成長した。外国企業の資本と技術力を利用する合弁企業優遇政策はまさにそんな租界時代の発展から学んだものといえる。
こうした経緯を考えれば、一見異様に思える欧米都市の完全コピーも、中国にとっては豊かさと近代化への象徴なのかもしれない。
だが、都市化の道を驀進(ばくしん)するこの成長パターンは、世界第4位の中国経済をさらに第3位、第2位へと押し上げる原動力であると同時に、負の副産物を拡散することにもつながっている。
不動産バブルといった副産物が上海郊外から杭州郊外へと輪を広げていることからもそれはうかがえる。そしてこの上海タイプの巨大都市建設は、超高層ビルの乱立などによって、資源に限りが見え始めたいまの地球への多大な負担となりつつある。
巨大都市を支える膨大な電力は、石炭を燃料とする発電によってまかなわれ、その結果、中国の都市では大気汚染が深刻となった。上海などへの電力供給が期待される三峡ダムは、130万人の強制移住ばかりか、自然の大改造をともなう。
巨大なエネルギーを費消する中国の巨大都市。「地球の生態系自体が一体どうなるか、予測さえできない」。環境問題専門家たちは憂鬱(ゆううつ)な表情を投げかけるのである。(上海 前田徹、写真も)
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【大上海経済圏】 上海を核にした巨大都市圏。長江デルタ圏や華東圏ともいわれる。上海との物流が高速道路で1時間から2時間という蘇州や無錫、さらにはその先の南京、杭州、寧波までが含まれる。この経済圏には6000社以上の日系企業が進出している。