国土交通省は、小さな集落の災害復興を支援する小規模住宅地区改良事業の適用条件を08年度から緩和することを決めた。従来は15戸以上の集落が対象だったが、5戸以上に引き下げる。国交省は「生活の復旧・復興にはコミュニティーの維持が不可欠だ。小さな集落が消滅しないように、住宅離散をくい止めたい」と話している。
この事業は97年度に始まった。社会資本整備が遅れた集落の改善が目的で、自治体による公営住宅建設や道路整備などに対し、国が最大で3分の2まで費用を補助する。福岡沖玄界地震(05年3月)の玄界島、新潟県中越地震(04年10月)の旧山古志村では、集落の復興に転用された。
これまでは、応急危険度判定で生活できない「赤(危険)」とされる住宅が集落の過半数に達し、15戸以上あることが適用条件だった。14戸以下の集落は対象外だった。08年度からは「赤」判定が「過半数」という条件は変わらないが、5戸以上に緩和される。集落面積に関する条件は従来同様に設けない。
国交省住環境整備室は「集団移転と違い、慣れ親しんだ地域に住み続けたいという被災者に有効だ」と話している。国交省の調べでは06年4月現在、山間、農村部など過疎地域にある集落は6万2273カ所。2643カ所が消滅の危機にあり、そのうち1744カ所は10戸未満だった。【高橋昌紀】
毎日新聞 2008年1月5日 15時00分