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【岐阜】

北ア雪崩 「安全地帯」で遭難 山岳関係者ら困惑「対策難しい」

2008年1月4日

雪崩が発生した槍平小屋(中央下)の周辺=高山市で(岐阜県警提供)

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 北アルプス・槍平の槍平小屋近くで先月31日深夜に雪崩が発生、4人の登山者が亡くなった事故は、ベテランの登山家たちが安全と信じていた場所で起きただけに、地元の山岳関係者は、どんな安全対策をとればよいのか困惑している。

 「今回は、登山者側の不備を批判できない」。現場で遭難者の救助に当たった登山者は強い口調で言った。現場の槍平小屋周辺は、冬季に槍ケ岳(3、180メートル)を目指す登山者の間では、安全な場所として知られていたからだ。

 民間の北飛山岳救助隊の竹腰藤年隊長(59)は、「これまでも、登山口にある登山指導センターで気象や冬山の情報を提供し、注意を呼び掛けてきた。立ち入りを禁止することもできないので、これ以上の対策は難しい」と沈痛な表情。槍平小屋オーナーの沖田政明さん(57)も「そもそも冬の間は小屋を閉鎖している。注意の看板を立てても、雪に埋もれてしまう」と困惑する。

 1973年、現場から400メートル上方で京大生5人が亡くなった雪崩事故の救助に加わった元北飛山岳救助隊長の内野政光さん(64)は「雪に埋まってもすぐ脱出できるよう、雪山でテントを張るときは、ズボンのポケットにナイフを入れておく必要がある」と、登山者に自衛策を促す。

 高山市の飛騨山岳会では、雪崩の危険性を予測する「弱層テスト」を会員に指導している。登山道の入り口で、スコップで雪を掘り、日光や雨で解けた雪の上に新雪がかぶさって雪崩の原因になる「弱層」がないかどうかを確かめる。同会の木下喜代男会長(63)は「このテストは、まだあまり普及していない。欧米と比べ、日本では雪崩に無関心なのではないか」と指摘している。

 (南拡大朗)

 

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