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アフガンの子らが描いた「幽霊」たち

2008年01月04日

 目をぎょろっとさせて、鋭い歯をむき出す怪物。体が牛で顔は不敵な笑みを浮かべる男――内戦が続くアフガニスタンの子どもたちが「幽霊」をテーマに描いた絵約350点が1月9日から、東京都の台東、荒川、文京の3区にまたがる谷根千地区のギャラリーなど7カ所で展示される。主催者側は「荒廃しているアフガンの子どもたちに幽霊を描かせている、その現状を考えるきっかけになれば」と話している。

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幽霊画展で販売される予定のマグカップ。幽霊画がカップに描かれている

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毛むくじゃらな幽霊。手に持ったナイフの下に人がうずくまる

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13歳の少女がキャンプで見たという幽霊

 「カブールの幽霊in下町」と題した展示会は、文化活動を通じてアフガンの子どもたちを支援しているNPO法人「ライク・ウオーター・プレス」(事務局・豊島区)が主催するもの。

 03年設立の同団体は、子どもたちに「夢を見てもらう材料を提供するために」、独自に作ったアニメと自然を写した実写映像を織り交ぜたファンタジー映像をアフガンやパキスタンの難民キャンプなどで上映してきた。

 展示される絵は、05年、カブールなどアフガン国内の避難民キャンプでの上映会で、子どもたちに「幽霊」や「一番怖いと感じたもの」について描いてもらったものだ。

 「幽霊」を描いてもらうきっかけとなったのは、タリバン政権崩壊後のアフガンの子どもたちの心理について、02年にユニセフなどが行った調査報告だ。「最も怖い」「最も嫌」と思うことを聞いたところ、「爆撃や爆発音」、「銃を持った男」を抜いて「幽霊」が1位だった。

 05年の上映会に集まった子どもたちに「幽霊を見たことはあるか」と尋ねると、「見た」と答える子が各地にいた。代表の陳富子さんは「現に戦争が回りで起こっているのになぜ幽霊か知りたい」と考え、カラーペンを渡し、絵に描いてもらった。

 描かれた「幽霊」は様々だ。つめの長い、毛むくじゃらな、怖い怪物もあれば、明るい色とユーモラスな表情の妖精の絵もあった。

 「戦火を生き抜き、孤独の中で、子どもたちの、友達がほしい、という切実な思いがあるのかもしれない。荒廃しているアフガンの現状が幽霊を見させている」と陳さんは分析。「子どもたちの絵から、アフガンの現状を少しでも考えてもらえたら」と話している。

 展示は「千駄木空間」(文京区)や「喫茶 谷中ボッサ」(台東区)などで1月9〜20日。期間は会場によって異なる。12日はオープニングパーティーを開く。詳細は同団体のホームページもしくは事務局(03・5394・8138)へ。

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