「顔の認識」能力、生まれつき備わる サルで確認2008年01月04日12時02分 人やサルが「社会」をつくる際、顔や表情の微妙な違いを見分ける能力が重要な役割を果たしていると考えられているが、脳には生まれつき「顔識別回路」が備わっており、実際に「顔」を見ることによって急速に発達するらしい――。産業技術総合研究所(茨城県つくば市)のチームがサルを使ったユニークな実験で確かめた。米科学アカデミー紀要電子版に発表した。 チームは生まれたばかりのサル10頭をそれぞれ隔離し、世話をする人も顔を隠して乳幼児期の6カ月〜2年間育てた。 こうして「顔」を知らずに育ったサルだが、人やサルの顔写真を見せると、物の写真より長く見た。また顔写真を見せた後に別の顔写真を見せると新しい顔を長く見ることから、顔を識別していることがわかり、「顔識別回路」が生来のものと確かめられた。目と口の間の距離を変えた写真などを使って、細かい差を識別していることも確認した。 この実験の後、実物の人の顔を見せるグループと、実物のサルの顔を見せるグループに分け、1カ月後に再び顔写真を見せると、人の顔を見て育ったサルは人の顔写真は見るがサルの顔写真に対する興味を失った。逆にサルの顔を見て育ったサルは、人の顔写真への興味を失った。 「身近な顔をみて、顔の特徴を識別する能力を急速に発達させていることがわかった」と杉田陽一・脳神経情報研究部門認知行動科学研究グループ長はいっている。 PR情報この記事の関連情報サイエンス
|
ここから広告です 広告終わり どらく
一覧企画特集
特集
朝日新聞社から |