憲法を歩く 施行60年
第4部は「貧困と労働」の現場ルポ
【社会】グッドウィル 企業買収で謎の383億円 投下資金と売買代金の差額 ファンドの利益に2008年1月5日 朝刊 人材派遣大手グッドウィル・グループ(折口雅博会長、GWG)が二〇〇六年、ファンドを通じて同業のクリスタルを買収した際、投下資金は八百八十三億円なのにクリスタル創業者側が受け取った売却代金は五百億円にすぎなかったことが四日、関係者の話で分かった。 三百八十三億円もの差額は、結果的にファンドやファンドに出資したほかの投資家らの利益になったとみられる。ファンド側の手数料などを考慮しても差額が大きく、金融関係者も「不可解な取引」と指摘している。 クリスタル子会社化をめぐっては、GWGの買収発表が遅れ、この間に同社の株価が上昇したことも問題化。東京証券取引所が事業改善報告書の提出を命じていた。 GWGの説明によると、同社は100%出資の「人材サービスファンド」を通じ、「コリンシアン投資事業有限責任組合弐号」というファンドに、クリスタル買収資金の八百八十三億円を拠出。外部の投資家も三百三億円をコリンシアンファンドに出資した。ファンドの資金は計千百八十六億円で、GWGの出資割合は約74%となった。 一方、関係者によると、クリスタルの創業者と資産管理会社は、発行済み株式の約91%をコリンシアンファンドに売却したが、代金は五百億円だったという。GWGはファンドへの出資割合に応じ、クリスタル株の67%を取得した。一連の取引は〇六年十月三十一日に行われ、GWGはクリスタルを子会社化。同年末、ファンドから脱退した。 ファンドには千百八十六億円から五百億円を差し引いた六百八十六億円の現金と、クリスタル株の約24%が残った。その後の投資活動は不明だが、ファンドは〇七年七月に解散した。
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