今年の山陽新聞賞に十人二団体が決まった。仕事や活動で社会に貢献してきた人々だ。
文化功労の作家の浅野敦子さん(筆名・あさのあつこ)は、少年たちの繊細な心を描いた「バッテリー」シリーズで知られる。陶芸家の岡本高明氏(号・孝明)は、岡山県を代表する釉薬(ゆうやく)陶作家で気品ある作風に魅せられる。
書家の額田一臣氏(号・桂崖)は、教職の傍ら研さんを積み、作品はおおらかで温かい。今も教壇に立つ。美術家の濱野年宏氏は、寺院や仏像など日本のこころを西洋的な画法や画材で描く。
社会功労の西大寺会陽奉賛会長の大森壽夫氏は、伝統行事の保存、発展に尽くした。医療法人社団十全会理事長の榊原宣氏は、岡山市・榊原病院の運営母体で経営手腕を振るう。教育功労は岡山県NIE推進協議会長の森川直氏。岡山大教授としてNIE(教育に新聞を)活動を引っ張る。
学術功労の岡山大大学院教授の公文裕巳氏は、前立腺がんの新治療法研究に挑む。産業功労のはるやま商事会長の治山正次氏は、一代で紳士服販売業界に確固たる地位を築いた。国際功労のクワイ河平和基金代表の藤原隆氏(筆名・永瀬隆)は、戦地だったタイで慰霊や福祉に尽くした。
山陽新聞奨励賞は地域文化を継承する福山市・鞆の浦アイヤ節保存会と、生活者の視点で社会活動に励む岡山市連合婦人会。地域の光である。