この年明け、各地のデパートなどでは福袋人気が一段と高まったようだ。開店前の長蛇の列や、いくつも袋を抱えた光景は風物詩としてすっかり定着した。
一年の商戦を勢いづける目玉として、店側は消費者心理をくすぐる品ぞろえに知恵を絞る。高級車、住宅、宝飾品など豪華な福袋や、子どもの職業体験といったユニークなものもあり多彩だ。
福袋の魅力は何が入っているかという興味と割安感にある。だが、いくら安くても使わないものでは仕方ない。消費者の目も厳しくなり、店側には期待を裏切れば信用にかかわると危機感が強い。中身の公開が大幅に増えている。
政治も、衆院解散・総選挙をにらみ決意や抱負を詰めた国民向け福袋が並ぶ。四日の年頭記者会見で福田康夫首相は「生活者、消費者が主役へ転換するスタートの年にしたい」。年金記録問題では「私の内閣で解決の道筋をつけるよう真摯(しんし)に取り組む」と強調した。
一方、民主党の小沢一郎代表は同日の記者会見で、政府、与党の経済政策を「地域間や所得、雇用の格差など不公正な社会になっている」と厳しく批判した。その上で是正へ政権交代の必要性を訴えた。
心地よい言葉の袋で、中身の真の姿が見えにくい。もっと具体的に知りたい。私たちも本当に望ましい政策か、偽りはないかなど、しっかり吟味しなければ、福袋にはならない。