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ネット仕手筋が暗躍 掲示板書き込みで株価操作 (2/2ページ)
■最後の大物
大阪地検特捜部は昨年10月、ジャスダック上場の旧南野建設の株価を不正につり上げたとして、投資アドバイザーの西田晴夫被告(57)=金融商品取引法違反(相場操縦)罪で公判中=を逮捕した。
バブル崩壊後の証券業界で「最後の大物仕手筋」と呼ばれていた西田被告は逮捕前、関係者に「最近はネットにすぐ情報が流れて仕手戦がやりづらくなった」と嘆いていたという。序盤でネットに「これは仕手筋が狙っている株だ」と漏れると、意図しない株価上昇で安く株を仕込むことができなくなるからだ。
自宅に居ながら株の情報を仕入れ、売買するネットトレーダーの口座数は去年9月末の時点で約1300万と、平成14年の5倍に急増している。売買のタイミングなどを指南する証券マンとの結びつきがなくなり、法に無頓着となって「ネット仕手筋」になるのだ。
ネット仕手筋が初めて摘発されたのは平成17年7月。釧路地検が、ネットを利用した株取引で株価をつり上げたとして個人投資家の会社員を証券取引法違反(当時)の罪で在宅起訴している。
■監視の強化
「マネーゲームに終止符を打ちたかった。だが、これからが『本当の勝負』だ」
西田被告を逮捕した当時、捜査当局の幹部は「大物」を捕らえた安(あん)堵(ど)の言葉を漏らす一方で、ネットの世界で暗躍を始めた仕手筋を「次」のターゲットに据えた。
証券取引等監視委員会もネット対策の人員を増やし、掲示板を巡回するなど監視を強化している。ネット仕手筋の手口を研究し、同一銘柄を1日のうちに売ったり買ったりして差益を得るデイトレードのような株式売買に着目、分析に力を入れている。
監視委への株価操作に関する情報提供もここ数年で急増し、中でもメールによる提供が多くなっている。ネットトレーダー相互の監視の目も厳しくなっているという。