ソウル――北朝鮮の労働党機関紙、「労働新聞」は4日、核戦争を画策していると米国を非難し、北朝鮮は戦争抑止力を強化するとの論評を掲載した。朝鮮中央通信が報じた。
北朝鮮核をめぐる6者協議の合意に従い、北朝鮮は昨年12月31日まですべての核計画の申告を義務付けられていたが、順守していない。同新聞はこの問題には触れなかった。
米朝は6者協議で直接会合を重ねて一定の関係改善を示し、核計画申告で合意するなど非核化へ向けた成果も出ている。この時期に労働新聞が米国非難の論調を掲載した背景は不明だが、申告の遅れを踏まえたけん制の狙いもあるとみられる。
労働新聞は「米国は侵略的な戦略の下、核戦力を近代化している」とし、「北朝鮮はこれに対抗するため戦争抑止力を強化しなければならない」と主張した。北朝鮮当局は通常、戦争抑止力を「核兵器」の意味合いで使っている。
核計画の申告は、北朝鮮・寧辺にある核関連施設の無能力化と合わせ、非核化の「次の段階の措置」の軸となっているもので、北朝鮮は見返りに95万トン相当のエネルギー支援を得る。
北朝鮮はまた、米国による対テロ支援国指定の解除などを要求、米国は申告や無能力化作業の履行を条件にしている。申告がずれ込んでいる問題では、高濃縮ウラン(HEU)による核開発計画や海外での核拡散活動の扱いをめぐり米朝間が対立しているのが原因ともされる。
燃料棒抜き取りなどの無能力化作業は昨年11月から始まり年内終了の予定だったが、技術的な問題も生じ、遅れている。北朝鮮外務省の玄鶴峰米州局副局長は先に、作業の遅延について見返りの経済補償が遅れているためと北朝鮮に非はないことを強調していた。