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子どもの薬の誤飲であわや大惨事

注意して捨てたつもりが、「お医者さんごっこ」で拾われて……

高橋 篤哉(2008-01-04 16:00)
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 先日、4歳の娘の友達がわが家に遊びに来ました。2人は仲良く、女の子同士で、おままごとのようなごっこ遊びをしていました。遊びは、お医者さんごっこのようでした。怪我をしたことにして、ばんそう膏をお互いに貼りあったり。

 おもちゃでないもので遊ばせるのは、どうかなぁと思いながらも、子どもだって偽物より本物を使いたいだろうし、ばんそう膏くらいで問題は起きないだろう、とそのままにさせていました。

カラフルな小さな玉は、子どもには好奇の対象。大人が不用意に放置した成人病の薬を子どもが誤って口にする誤飲事故は、毎年かなりの数発生しています(撮影:ロイター)
 一応、救急箱の中の、他の物は取り上げて、ばんそう膏だけを数枚渡しました。「今日だけ特別だから、普段は救急箱のもので遊んじゃ駄目だよ」と忠告して、かなり自由に遊ばせていました。

 夕方、お母さんがお迎えに来て、2人は名残惜しそうでしたが、無事に帰しました。

 夕食後、その娘のお母さんから電話が来ました。

 「子どもの話だから良くわからないのですが、娘さんに薬を飲ませてもらったと言っています。何か飲ませましたか?」

 始終2人を監視してなかった私は即答できず、娘に確認して、折り返し電話すると告げて切りました。

 娘に尋問を開始しました。怒ったような顔をすると、本当の事を言わなくなる可能性があるので、極力笑顔で、おだてながら。

:「今日はお友達が来て、2人で仲良く遊んで偉かったね」

:「うん、とっても楽しかった。ばんそう膏ごっこ」

:「お友達、風邪ひいてるとかいって盛り上がってたよね」

:「うん、お家から持ってきた薬を、自分のジャンパーから出してきて、プチって出せないって言うから、私が銀色のから、プチって出してあげたの」

:「え? お薬飲ませたの? どんな薬?」

:「ピンクの玉で、2個あったけど1個プチって出してあげて、○○ちゃんは、苦いからって、1個だけ頑張って飲んで、もう1個はくずかごに捨てたの」

 くずかごをひっくり返して確認すると、2個のうち1個だけ包み紙に残っているピンクの錠剤が出てきました。一緒に探していた妻が、「これは私が昨日、子どもが悪戯したら困ると思って、ここに捨てたものだから違うと思う」と言います。

 「でも、限りなく娘の証言に近いよ、これ。2粒あった? 1粒だった?」と私。妻は「そう言われると自信が無い」と首を傾げました。何の薬か確認すると「効かないから飲まずに残った鎮痛剤」と言います。

 薬の名前が書かれていたので、即、そのお母さんに電話し、経緯を説明し、断定は出来ないけど可能性が高い旨を伝えました。そのお母さんは医療系の仕事をしているので、薬の名前を聞き安心した様子で、現時点で異常は無いし大丈夫だと思いますとの返答。私も再度監視不足についてお詫びを申し上げ、一段落しました。わずか15分くらいの出来事でしたが、わきの下に冷たい汗をかいたひと時でした。

 次の日、改めてお詫びに行くと、その子が元気良く玄関に現れたので、思わずハイタッチしてあげたくらいホっとしました。

 おそらく、目を放した隙に、たまたま、くずかごにあった薬を見つけたことと、お医者さんごっこの延長線で、「薬を飲める、飲めない」の自慢合戦になり、度胸試しのような展開になったのではないかと思います。お友達は帰宅後、大人になった武勇伝のつもりでお母さんに話したんじゃないかと思います。

 「子どもが悪戯すると困るから」と薬を手の届くくずかごに入れてしまったこと、本物を使ったお医者さんごっこを容認したこと、仲良く遊んでいるからと安心して目を離したこと。この3つが重なって、予期せぬ展開になってしまったのだと思います。

 良かれと思って普段より気をつけたことが配慮不足で裏目に出たり、成長過程にある子どもの発想に追いつけなかったり、大きくなったからもう安心と目配りを怠ったり、わずかな心の隙が重なったときに、惨事は起こるのだと改めて考えさせられました。

 お友達の体調や体質、薬の強さなど、要因が最後にもう1つ重なれば、取り返しの付かない事態になってしまったでしょう。わが身の恥を晒(さら)すようで、投稿をためらいましたが、私の失敗が、次の大きな不幸を防止する事になればと投稿を決めました。

 冬休みの間、親類や近所のの子ども、わが子の友達を預かる機会が増えると思います。よその子どもという新しい刺激と情報が加わると、いつものわが子も、大人に近づくというか、冒険心というか、なにかしらの変化をするものです。

 子どもは絶えず成長し、予測不可能な事をしでかすと肝に命じ、正月気分とはいえ、気を引き締めて暮らしたいと思います。
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