阪神大震災(95年)で被災した家屋を撤去し更地になった宅地が、依然として兵庫県内6市で計約147万9500平方メートル(07年1月現在)あることが分かった。更地の固定資産税などを軽減する国の特例制度は3月末で終了するが、被災地には今なお深い「傷跡」が残っている。
神戸、芦屋、西宮、宝塚、尼崎、伊丹の各市で制度の適用を受けている宅地をまとめたもので、甲子園球場約37個分に相当。同じ敷地に未撤去の建物があるケースもあり、自治体担当者は「うち7~8割が実際に空き地」と推測している。
制度は、被災者の住宅再建支援が目的で、家屋を撤去し更地にすると、家屋があった時の約2~4倍に上がる固定資産税と都市計画税を据え置く。一つの土地に複数の住宅があった場合、1棟だけを撤去しても土地全体が対象になる。96年度から2年間の予定で始まり、期限を3回延長。震災復興土地区画整理事業などの施行区域内を除き、今年度末で打ち切られる。
適用地が最も多いのは神戸市で、79万500平方メートル。次いで西宮市33万5300平方メートル▽芦屋市12万5700平方メートル--など。神戸市内では、長田区(24万1100平方メートル)と兵庫区(15万4500平方メートル)でほぼ半分を占める。
神戸市の場合、02年度は110万5200平方メートルあり、固定資産税と都市計画税計10億3900万円を軽減した。今年度は計5億5600万円の見込み。
神戸市の担当者は「土地の値下がりのほか、先祖代々の土地で手放せなかったり、建築基準法の規制で震災前と同等の広さの家屋を建てられないなどの理由で更地のままなのではないか」としている。【川口裕之】
毎日新聞 2008年1月4日 17時53分