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リタリン不正入手、首都圏で拡大 川崎で詐欺未遂容疑

2008年01月04日15時31分

 依存性の強い向精神薬「リタリン」を川崎市内の薬局からだまし取ろうとしたとして、東京都内の女が詐欺未遂容疑で神奈川県警に逮捕されていたことがわかった。東京など首都圏では昨年11月以降、ほかにも同様の不正入手が少なくとも7件発生。使用された処方箋(せん)の筆跡や手口が酷似しているため、県警や警視庁などは、都内の5店に現れるなどした渋谷区内の歯科医院長らが関与した疑いが強いとみて調べている。

 県警幸署の調べや神奈川県薬剤師会によると、女は昨年12月17日午後8時ごろ、川崎市幸区内の調剤薬局で、偽造した処方箋を使い、リタリン180錠をだまし取ろうとした疑い。通常の服用量の30日分にあたる。

 この約1時間前、目黒区に実在する診療所の精神科医を名乗る男が、この薬局にリタリンの在庫を尋ねる電話をしてきた。男が伝えた電話番号が実際の番号とは異なったため幸署に通報。駆けつけた署員が、偽造処方箋を出してリタリンを受け取ろうとした20歳くらいの女を取り押さえた。

 一方、渋谷区の男性歯科医は昨年11月8日から12月4日にかけ、都内の5店を訪れるなどし、偽造処方箋でリタリン計434錠を詐取した。このうち少なくとも3件で20代くらいの若い女性を伴っていた。

 川崎市で逮捕された女が出した偽造処方箋は、都内の薬局で使われた処方箋と筆跡や記載内容が極めて似ていた。女が使用した処方箋に書かれていた診療所名は、男性歯科医の母親が理事長を務める医療法人が目黒区で経営する歯科医院と一文字違いで、所在地はこの歯科医院と同じ住所になっていた。

 一連の不正入手では、昨年12月11日に埼玉県川口市の薬局でリタリン56錠が同様の手口で詐取され、同月14日には千葉県浦安市でも被害があったことも新たに判明した。

 両県によると、事前に精神科医を名乗って電話で在庫を確認するなどの手口や処方箋の筆跡が、東京都や川崎市の事件とよく似ているという。川口市のケースでは、川崎市の事件と同じ診療所名が使われ、若い女性がリタリンを取りに来ていた。

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