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東大阪の男性死亡、拒否の5センター「処置中」「満床」

2008年01月04日

 大阪府東大阪市で2日夜に交通事故に遭った男性が、救命救急センターから相次いで受け入れを断られ、事故から約1時間後に救命救急センターに収容された後に死亡した問題で、同府大東市消防本部は4日、搬送を要請した五つのセンターに受け入れられなかった理由を明らかにした。それによると、5センターに電話で計6回連絡し、「処置中」「ベッド満床」「電話がつながらず」が2件ずつだった。朝日新聞の取材では、電話がつながらなかった2センターはいずれも、救急患者の処置中で電話に出られなかったという。

 大東市消防本部によると、事故発生から約20分後の2日午後10時42分から、救急隊は搬送先を探し始めた。吹田市の千里救命救急センターでの受け入れが決まるまで、14分間に5センターに延べ6回電話した。だが、最寄りのセンターは2度「別の患者の処置中で受け入れられない」と断り、二つのセンターからは「満床」を理由に断られた。電話に出ず、連絡がつかないセンターも二つあった。

 一方、複数のセンターが朝日新聞の取材に応じ、当時の事情を説明した。

 現場から最も近い府立中河内救命救急センター(東大阪市)では当時、救急患者が運び込まれる初療室で、当直医3人が交通事故による負傷者と自宅で吐血した患者の2人を治療中だった。2人とも重篤だったという。

 年末年始は救命救急センターに患者が集中しやすいため、同センターでは一部患者を他の機関に転送して30床のうち9床を空けたが、ほぼ満床状態が続いていたという。

 同センターは「通常ならいったん受け入れた後で他の病院に送る方法もあるが、年末年始はそれが難しい」と話す。

 守口市の関西医科大付属滝井病院の救命救急センターには、2日午後10時43分から計4回にわたって、消防本部からの電話が当直責任者の救急医が持つ携帯電話に入ったが、心肺停止状態の患者の処置中で、バイブレーションモードにしていた電話の振動に気づかなかったという。

 2日夜は当直の救急医2人で、心肺停止状態の患者の心臓マッサージにあたっていたという。当直責任者だった中谷寿男教授(救急医学)は「たとえ電話に気づいたとしても応じられない状況だった」と説明している。

 国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区)は通常通り救命救急センターの医師2人が当直として勤務。2日午後11時ごろ、処置室に置いていた受信専用の携帯電話に着信音が鳴ったが、医師が治療中でだれも出なかったという。発信元の記録がなく、大東市消防本部からの電話だったかどうかは分からないが、当時は大阪市消防局の要請で脳幹梗塞(こうそく)の女性患者を受け入れ、人工呼吸器の取り付けなどにあたっていたという。

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