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東大調査:がん患者300人に死生観問う ケア環境を再考

 「死後の世界はあると思うか」など、がん患者の死生観を把握する国内初の大規模調査に、東京大が今月から乗り出す。死を意識せざるを得ないがん患者のケア(治療や看護)の環境づくりや、ケアをする人々の心構えを考える参考にする。同大付属病院放射線科を受診するがん患者約300人を対象に調査票を配布。約1年かけて、告知直後から終末期まで、さまざまな立場の患者の死生観を探る。

 調査では、「死後の世界はあると思うか」「世の中には霊などがあると思うか」「死んでも魂は残ると思うか」「死ぬことは怖いか」「生きている意味を見いだせるか」など、死に対する率直な思いを聞く。

 放射線科には、告知されたばかりのがん患者から、がんが消えて治療を間もなく終えられる患者、末期の痛みをやわらげる緩和治療を受けている患者まで、さまざまな立場の患者が集まる。患者らが死をどうとらえているかを知ることによって、告知の方法や、終末期のケアのあり方の再検討に役立てる。調査結果は同大医学部と、宗教学、哲学、心理学など文学部の研究者が共同で分析する。

 調査を実施する中川恵一・同大病院放射線科准教授は「がん患者は死について真剣に考えることになる。病状による意識の変化があるのかなどを調べ、患者に応じた的確なケアが構築できるようにしたい」と話す。

 また同じ調査で、がん患者がどのように死を迎えたいかについても聞く。04年に宮下光令(みつのり)・同大講師(緩和ケア看護学)らのチームが健康な人約2500人と、緩和ケアを受けて亡くなった患者の遺族約500人を対象に実施した調査では、「身体的・心理的苦痛がないこと」「望んだ場所で過ごすこと」「他者の負担にならないこと」「人として尊重されること」などが「望ましい死」と位置づけられていた。今回は、04年調査と同じ質問を患者本人に聞き、より患者の思いに配慮した緩和ケアのあり方を検討するという。【永山悦子】

毎日新聞 2008年1月4日 2時30分

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