サッカー日本代表・川口能活(ジュビロ磐田)、浦和レッズの小野伸二ら、多くのJリーガーを輩出したサッカーの名門校「静岡市立清水商業高校」の校名が消えることになった。全国高校サッカー選手権大会で3回、全国高校総体4回、全日本ユースでも5回の優勝を誇る強豪校も少子化の流れには勝てず。関係者からは「“清商”の名をぜひ残してほしい」との声も上がっている。
“清商(きよしょう)”の愛称で親しまれてきたサッカーの強豪校も、押し寄せる少子化の波には勝てなかった。
同校の学区では中学校の卒業者数が、ここ20年で約2400人に半減。このため静岡市教育委員会は昨年11月、清水商業と県立高校(普通科、英語科)を合併させる高校再編成計画を発表した。これによると、2013年度から普通、英語、商業の3つの科を持つ市立高校が新たに誕生するという。教委会は校名に関して「どちらかの校名を残すと(もう一方の学校が)吸収されたと取られかねない」として、再編校には新しい校名にすることを明言していた。
清商サッカー部は51年の創部。これまで全国高校サッカー選手権大会に11回出場し、3度の優勝を果たすなど、サッカー王国・静岡を半世紀以上にわたりリードしてきた。卒業生にも名波浩(東京V)、藤田俊哉(名古屋)、田中誠(磐田)といった日本代表経験者がズラリと並ぶ。
“清商”の消滅に卒業生ばかりでなく、市民らも猛反対。同校の藤田安彦同窓会長は「清商は全国ブランド。名前を残して」と訴えるほか、旧清水市民も「絶対に反対」「清商でサッカーをすることを夢見ている少年も多い」と市側に再考を求めていた。しかし、静岡市の小嶋善吉市長は「時代に合った良い高校をつくることが大事」と例外を認めず。市民らの願いは届かなかった。
卒業生の小野伸二は「残念だけど、そこでサッカーをやってきたことが消えるわけじゃないから」と話している。
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