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日本の有人月探査「実現可能」 三菱重工が検討案

2008年01月04日10時00分

 日本の技術で、2人の飛行士を月に降り立たせる――。国産ロケットによる日本初の有人月探査の検討案を三菱重工業がまとめた。世界的に月探査の動きが活発になるなか、日本の探査方針について議論を深めるのがねらい。これまでに得た技術を生かせば実現可能だという。

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月着陸船の想像図。2人の飛行士が1週間月に滞在する=三菱重工業提供

 月面の有人探査は、米国が69年にアポロ11号で初めて成功。72年のアポロ17号までに計12人が月面に降り立ったが、その後は有人探査が途絶えている。米国は20年ごろ、再び月面に飛行士を送る計画を進めている。

 同社は05年ごろ、全社的に検討を始めた。現時点の案はアポロ計画に似ているが、アポロのように1機の超大型ロケットではなく、既存のH2Aロケットの打ち上げ能力を2倍に高めた改良型6機を使う構想だ。

 飛行士3人を乗せた司令船や無人の状態の着陸船、両船を月への軌道に乗せるロケット2組などを個別に発射。地球を周回する軌道上で、数日かけて各部をドッキングさせてから月に向かう。

 3日ほどかけて月に到達すると、3人のうち2人が着陸船に乗り移り、司令船から分離して月面に降りる。7日間にわたる探査の後、着陸船を再び飛ばして上空の司令船に戻り、3人で地球への帰途につく。司令船のカプセル部分が大気圏に再突入し、パラシュートで海上に着水する。

 日本の宇宙開発は無人探査が主だったが、今年から国際宇宙ステーション(ISS)で設置が始まる実験棟「きぼう」の開発で有人飛行の技術も得つつある。検討チームの宇宙機器技術部・川端裕子さんは「技術的には20〜25年ごろまでには実現できる」という。

 ただ、日本単独で6機のロケットを1週間で打ち上げるのは難しく、3カ国以上の協力が前提。費用も数兆円規模になるとみられる。今後、同社は宇宙航空研究開発機構などと協力し、さらに検討を進める予定だ。

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