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命をつなぐ 岐阜の医療現場から 第1部「明日へ」

2008年 1月 4日(金)

地域医療

生活環境踏まえ診断

写真:地域医療
外来診療を経験する女性研修医(左)。日常的な診療の中から大きな疾患を見つけ出す力を培う=下呂市幸田、県立下呂温泉病院

 温泉地として知られる下呂市幸田にある、県立下呂温泉病院。南飛騨地域の中核病院として、かかりつけ医のような役割を持ちながら、脳卒中など重症度の高い急性期までさまざまな患者を診る。ここは岐阜大学が昨年4月に立ち上げた地域医療医学センターの研修施設として、研修医が地域医療を学ぶ場でもある。「大学病院に来る患者は、最初から重大な疾患を抱えてやってくる場合がほとんど。ここでは、日常的な疾患の中から重要な兆候を見つけ出し、診断する訓練を研修医にさせている」と山森積雄院長。

 地域医療は生活の場で行われる医療。言い換えれば生活の場でしか行えない医療でもあるという。同病院では、地域医療医学センターの立ち上げに伴って本年度、岐阜大学医学部付属病院や県総合医療センターの研修医が地域医療を学ぶ。

 全国的に医師不足が叫ばれる中、県内も医師不足は深刻だ。新たな医師確保となれば1人増やすだけでも数年はかかるといわれる。地域医療医学センターでは、現状の医師数のままでも「医師の確保ではなく、医療の確保」という発想で、医師の足りない診療科に定期的に同大の医師を派遣している。さらには、例えばお産も診れる小児科医の育成など、幅広い診療のできる医師の育成を試みることで、医師不足による地域医療の崩壊を瀬戸際で食い止めようとしている。

 しかし課題もある。「ノルマ的に医師が派遣されるのでは解決にはならない。現場での教育、研究を通して地域医療の魅力や重要性を研修医に感じてほしい」と、同センター長を務める近藤直実医学部長。「疾患ではなく、疾患を持つ患者とその環境を見ることができる医師を育てたい」。そのために、研修で患者が生活する地域環境を見ることが重要という。

 県立下呂温泉病院で昨年11月、県総合医療センターの女性研修医(26)が1カ月、研修した。ここでは小児科の外来診療、地域の診療所での診察を経験。発熱や下痢といった症状から検査や入院が必要か、薬だけでいいのか、初期診断の段階で見極めをしなければいけない。しかし、このような経験が研修医の病気を診る基礎的な力を培っていくのだという。

 「多くの医療は患者の生活の場にある。その現場を見てもらうことで、医療の原点も見えてくるはず」と山森院長。さらに、医療を行う側と患者の間には橋のない川が存在するとも。「医者はまず体のことを考えるが、患者には病気以外にも家族や仕事など生活がある。地域に根を下ろした医療では、専門性だけでなく、患者の地域における生活にも心を配る人間性も求められている。この研修を通して悩める患者の心をくみ取れる医師へと育ってほしい」と、あすの地域医療を担う若き医師たちに期待を寄せる。

施設で働く医師数は2006年、人口10万人あたり173人で全国40位。岐阜大学医学部入学者のうち県内出身者は3割弱(01―06年度)で、うち7割が卒業後も県内に定着。県外出身者の県内定着は4割程度。08年度から同大医学部は入学定員を10人増やし、県内の高校生を優先的に入学させる地域枠も設ける。

【医師不足 県内の医療】  施設で働く医師数は2006年、人口10万人あたり173人で全国40位。岐阜大学医学部入学者のうち県内出身者は3割弱(01―06年度)で、うち7割が卒業後も県内に定着。県外出身者の県内定着は4割程度。08年度から同大医学部は入学定員を10人増やし、県内の高校生を優先的に入学させる地域枠も設ける。

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