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市川海老蔵、先祖代々出演の通し狂言「雷神不動北山櫻」で5役に挑戦
「歌舞伎十八番」で知られる鳴神や不動、毛抜などの個性的な5役に歌舞伎界の若きホープ、市川海老蔵が挑戦する。新橋演舞場(東京・東銀座)で、2日から始まる注目の通し狂言「雷神(なるかみ)不動北山櫻」。市川家の先祖たちが演じてきた鳴神上人などを演じる海老蔵は「5役やるのは大変で、1日2回(公演)はなかなかできない。全部が不得手のつもりで、頭と体を使う修業になる」と張り切っている。(生田誠)
現在では、単独演目の「鳴神」「毛抜」として上演されるが、かつては長い狂言「雷神不動−」の一部だった。海老蔵の先祖、二代目市川團十郎が鳴神上人、粂寺(くめでら)弾正、不動明王の3役を務めた記録が残っている。
今回は、早雲王子、安倍清行を加えた5つの役すべてを海老蔵が早変わりを含めて演じる。
「随分前から何となくは考えていたが、パリ(オペラ座)公演が終わって(この企画の)話をした。自分に少し自信ができたし、30代になったら、もっともっと歌舞伎をいちずに頑張らなくてはいけない」
平成19年3月、パリ公演で「勧進帳」の弁慶などを経験。12月6日には30歳の誕生日を迎え、一回り成長した姿を舞台上で披露する。
平安時代、人々が日照りで苦しむ中、朝廷に恨みを抱く鳴神上人、皇位を狙う早雲王子ら悪人に、陰陽師(おんみようじ)の安倍清行、文屋豊秀の家臣、粂寺弾正らが立ち向かう。
最後は不動明王が出現して悪人を懲らしめるという物語だ。
「鳴神、不動は磨き抜かれたものなので、変えてはいけないと思っている。不動は神々しく見えるように、ワイヤがなくても空を飛んでいるようにしたい」
錦絵の中の不動の姿をヒントに、イリュージョンの技術などを用いた宙乗りにも挑むこととなる。
27日まで。出演は海老蔵のほか、中村芝雀、大谷友右衛門、市川門之助、市川段治郎ら。(電)03・5565・6000。