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浜村弘一さんに聞く:ゲーム界07~08年 ドラクエ9は市場待ち DSでファミコンの歴史再び

 PS3、Wiiが登場し、Xbox360と合わせ次世代ゲーム機が出そろった07年。DS、PSPの携帯ゲーム機も好調で、さまざまなソフトも登場した。エンターブレイン社長で、ゲーム界のご意見番「浜通」こと浜村弘一さんに07年を振り返り、08年のゲーム業界を占ってもらった。

--今年のDSは?

 07年の上期から海外で評価され始めた。PS2の倍の早さで、2000万台を達成し、メーンプラットフォームとして完全に成功したと言える。ゲームの新しいライフスタイルを提案し、その可能性は底を見せていない。一家に一台。国内は3000万台、うまくいけば4000万台になる可能性もある。

--新しいソフトでは?

 「レイトン教授」ですね。新しいユーザーの登場を感じる。実はアドベンチャーは、ゲームとしては終わったジャンルですよね。「逆転裁判」や「ウィッシュルーム」、「西村京太郎サスペンス」など、DSで再びヒットしている。新たなユーザーが、ファミコンの歴史をたどっているみたいですね。

--ソフトもファミコンのリメークが続々発売され、DSでファミコンの歴史が繰り返されているみたいですね。

 シューティングやアドベンチャーゲームから、RPGへというの流れが改めて始まっています。ファミコンでも「ポートピア殺人事件」のアドベンチャーから、「ドラクエ」のようなRPGに入っていった。DSでは、「脳トレ」に代表される実用系ゲームで始めた人が、ゲームに流れてくれると、サードパーティーのゲームが生きている。

--「ドラクエ9」はいつ出るでしょうか。

 「4」が60万でましたが、今期でそうにないですね。もっと市場を温める努力をしているのではないでしょうか。ドラクエは100万本では許されないソフトなんですね。市場が十分に温まったところで、300万本以上の新記録を出してもらわないと。

--来年の注目は

 トレンド。任天堂ソフトばかりが注目を浴びている。サードの作品がどれだけ売れるのかが注目。一番はドラクエ。あとはサードパーティーが開発にのっけているところ。個人的には「ブルードラゴン」のDS版が注目ですね。「ダビスタ」や「サクラ大戦」が売れるかも、見ていきたい。

--PSPも好調です

 PSPも選択肢の一つとして、再評価され始めた。PS2のリソースがすぐ生きる市場。ソフトハウスで選択肢が増えるのはいいこと。ワンセグチューナーもヒットしているし、PS2もDVDで売ったように家電的な発想で伸ばしてもおかしくない。「モンスターハンターポータブル」もネットワークとしてよく考えられた展開。日本中のマクドナルドでオフ会が開かれていて、長く居座らないといった「作法」まで出ているようですね。

--PS3 じわじわですね

 値下げされて12月はWiiより販売を上回りました。値段の高さがネックだったのが証明された感じですね。4万円はPS2の最初の価格ですから、ようやくローンチしたと言ってもいいでしょう。価格が下がるのを待っているソフトハウスも多いし、PSのファンも多いので、後はSCEがどう考えるか。任天堂のように、期待のソフトを出して、技術を公開していく必要がある。元々息の長い商品なので、08年、09年になってからじゃないですかね。久多良木さんがいなくなってビジョンが語れていない。PS3がソニー全体の戦略商品になっていますからね。

--ソフトはいかがでしょうか。

 「メタルギアソリッド4」、「龍が如く」、個人的には「戦場のヴァルキュリア」が注目です。あまり売れないと、開発ラインをWiiに分けてくるメーカーが出てくる。ソフトのラインが止まると苦しくなるので、ある程度行かないと。

--Wiiはどうでしょう?

 ゲーム機の概念で語ると説明がつかない。PS3やXbox360もゲーム機ですが、「Wiiフィット」を買う人は、Wiiフィットをやるための機械と思っているのでは。任天堂はそれでもいいと思っているのでしょう。任天堂がチャレンジした「ゲームへの無関心」の挑戦は成功していると言えます。

--「Wiiスポーツ」以降、これというソフトがないんですよね

 任天堂も「Wiiフィットが戦略商品」と前から行っていた。本当は夏発売だったので、滑り出しは悪くない。ゲームを知らない人が買っています。台数がそろえられるのかの方が心配ですね。海外は本当にない。供給がないと、値段がはね上がるからね。成功しているのに、成功しているなりの苦労がある。

--期待のソフトは?

 「大乱闘スマッシュブラザーズ」でしょう。中高生が動く。Wiiはゲームらしいゲームがない。Wiiフィット、スマブラ、マリオが明暗を分けるでしょう。

--みんなリモコン対応しきれていないような

 Wiiは今までのゲームの操作を捨てましょう、というゲームなので。マリオ、ドラクエでは、べらぼうに飛び抜けていない。スマブラで見せられるか? そこがポイントですね。まあ、ゲームファンなしであれだけ売れるのは大したもの。任天堂の狙い通りで、まだ1年ですからね。課題を探すほうが難しい。

--Xbox360がいい感じになってきましたかね

 ある意味旧PSの市場をPS3が伸び悩んでいるうちに取ってきた。ネットワークの楽しさを提示できてきましたね。「アイドルマスター」が、5万本のゲームで、ダウンロード販売で1億円。利益率が高いので、ソフトハウスに希望が沸きます。「ギアーズ・オブ・ウオー」も良かった。グラフィックは最高。大型タイトルも出て、ラインナップもそろってきた。もっとマーケティングができればいいんですが。まあ、負けのない戦いができる状況になった。前機種は大変でしたからね。

--ソフトメーカーを振り返ると

 スクウェア・エニックスは、余裕はありますね。ソフトをたくさん作って、入れ替えられる。FF13は、しばらくかかりそうですが、ドラクエ9の投入時期がポイントですね。ネットワークの展開に期待。PS3のレベルのネットワークゲームの展開が発表されるかに注目です。ドラクエ、FF、新ネットワークゲーム時代を作る可能性がある。コナミは、「メタルギアソリッド4」(PS3)がどれだけ売れるか? 「幻想水滸伝も登場」してくるでしょうが、どのハードなのか。ハイデフのグラフィックではノウハウを持ってますから、期待できますね。

--他のメーカーは

 バンダイナムコもセガも、まだ実力発揮していない。この後の展開をどうするか? まだ成功しきったとはいえない。注目は、レベルファイブとテクモ。レベルファイブはカギを握るソフトハウス。昔のスクウェアのような感じですい星のように伸びてます。社員の雰囲気に活気を感じる。あの会社が成功すれば、他のソフトハウスも元気になる。テクモは変わっている最中。昔はチームニンジャ一本でしたが、西村京太郎のようにマーケティングした作品を送り込んだり。デッドオアアライブで中国展開したり、オンラインゲームの「リーボ」の展開もアジア地域でどれだけ成果がでるか。

--オンラインゲームはどうでしょうか。

 そうですね。淘汰の時代ですね。「ワールド・オブ・ウォークラフト」のような次世代を感じるゲームが出てほしい。世界で800万人以上プレーしていて、日本以外ではすべて成功している。前の世代はプラットフォームの乗り入れが難しかったが、すべての家庭用ゲーム機がネットにつながっている。FF11の次、うわさされるドラゴンクエストのネットワーク化などに注目ですね。

--今後は?

 WiiとPS3は競わず、違うユーザーが使い分けている。販売台数で競っているようにみられてきた。一つのゲーム機が、すべてを取る時代ではない。まだ混沌の時期ですが、今後10年がどっちに向かうか、明確になる楽しめそうな1年になるでしょう。

 2008年1月3日

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