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北ア雪崩 家族や関係者も心配「慎重なベテランが…」

2008年01月01日16時24分

 徳島岳人クラブのメンバーによると、意識不明になっている市川啓二さん(51)は高校時代から登山を始めたベテランだという。同クラブの関係者は「これだけの人が巻き込まれるなんて、よっぽど山の状態が悪かったのだろう。危険だと分かりながら、慎重に登山したはずなのに……」と言葉を詰まらせた。同県松茂町の市川さんの自宅にいた次男は取材に対し、涙するばかりで言葉にならなかった。

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市川啓二さん(徳島岳人クラブ員提供)

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西井健さん(徳島岳人クラブ員提供)

 昨年末に市川さんと会ったという同県藍住町の登山仲間、中村満芳さん(63)は事故の一報に接し、「寒波が来ているので心配はしていたが、まさかという思いだ」と驚いた。「市川さんは慎重なところも持ち合わせている。不幸にして起こってしまった事故ではないか」と話した。

 西井健さん(31)は徳島文理大学(徳島市)薬学部の有機化学専攻の助教。12月28日に研究室で会話を交わしたという角田鉄人教授(53)は「10年来の付き合い。研究熱心で、登山は彼の最大の趣味だった。昨夏にはヒマラヤにも行き、経験は豊富なので、まさかこんなことになるとは」と肩を落としていた。

 鈴木基男さん(47)の長男大地さんは1日未明、同クラブの関係者から電話で無事救出されたとの連絡を受けた。鈴木さんが本格的に登山を始めたのは1、2年ほど前からという。大地さんは「まさかという感じ。突然のことでびっくりしている。何もなかったかのように帰ってきてほしい」と話した。

 東京都目黒区の金指伸一さん(45)は、NTTコミュニケーションズに勤務。同社広報室によると、金指さんは本社ITMS事業部の課長として、データ通信の法人向け営業の支援を担当していた。

 金指さんは名古屋市内に住む家族と離れ、東京に単身赴任。職場の同僚によると、まじめできちょう面な仕事ぶりで、責任感が強かった。冬山の登山を楽しみにしていて、「毎年行っている」と同僚に話していたという。

 金指さんが所属する三峰山岳会によると、主にハイキングを楽しんでいた金指さんは、約2年前に同会に入ってから冬山に登るようになった。登山は月1回のペースで、登山関係の勉強会にも、まめに参加していたという。

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