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08年 転換の時 政治の成熟への試練だ

福田政権

「今年の年末には、何かが変わったと実感してもらえるような世の中にしたい」。福田康夫首相は年頭所感で、年金制度の抜本改革や生活者・消費者主役の社会への転換などに触れながらこう結んだ。決意の裏に厳しい現状がにじむ。

 参院選の大敗にもかかわらず続投した揚げ句に突然辞任した安倍晋三前首相は国民の信頼を失墜させた。後を受け、昨年九月に発足した福田政権は自ら「背水の陣内閣」と名付け反転を期した。しかし、衆参両院の「ねじれ現象」や不祥事などに苦しみ、新たな年も混迷が続きそうだ。

 国会は新テロ対策特別措置法案の審議が難航し、衆院での再議決をにらみ異例の越年国会となった。福田首相に対する問責決議や、解散・総選挙も取りざたされるなど不透明感漂う中で、首相のかじ取りが問われる。

真の国民目線に

 参院選で自民党が生活重視を掲げる小沢一郎代表の民主党に大敗したことは、政治の様相を大きく変えた。

 福田首相は「国民の目線」による政治を強調する。聞き心地よい言葉だが、その目線が少々気になる。年金記録問題で、今年三月までに終えるとしていた名寄せ(照合)が困難と分かった際の首相の「公約違反というほど大げさなものなのかどうか」などの発言である。内閣支持率は急落した。年金への不安や選挙公約の重要性がくみ取れない失言へ反発は強かった。

 薬害肝炎訴訟の和解をめぐっても原告患者側の訴えはなかなか届かなかった。昨年末に首相が慌ただしく一律救済の議員立法を指示し解決へと進んだが、後手後手に回った印象はぬぐえない。

 国民の目線とは、政策の前提として関心や痛み、憤りをしっかり受け止め具体策に反映したり説明責任を果たしたりすることだ。選挙の票として国民に注ぐ目線では信頼回復はおぼつかない。

もろ刃の剣

 「あっ」と驚かせたのが、福田首相と小沢代表による大連立構想をめぐる話し合いである。結局、民主党内の強い反対で元に戻ったものの、今後も再燃の可能性がないとはいえない。

 首相は「ねじれ国会」で思うように法案が通らない状況の打開を目指し、小沢氏は次期衆院選での政権交代の可能性に危機感を覚える手詰まり状態にあったとされる。両党首とも「ねじれ国会」という新たな存在を持て余しているというわけだ。

 確かに「ねじれ国会」は、与野党が足の引っ張り合いに終始すれば、国会の機能は停滞をきたしてしまう。重要な生活関連法案にも影響が出よう。だが、互いに協議することで共通項や違いを認識し、知恵を出し合って政策を磨き上げていくことは可能だ。与野党双方の意識にかかる。

 「ねじれ国会」という、もろ刃の剣をうまく国民のために生かせるか。成熟した政治への試金石である。

信頼を深めよう

 今年は米国やロシアの大統領選などが控える。パキスタンの総選挙を前にしたブット元首相暗殺は不安定な情勢をあらためて示した。激動の中で日本が国際社会とどうかかわり、どんな役割を担うか重要な選択の年である。

 福田首相は外交の柱に「日米同盟強化とアジア外交推進の共鳴」を掲げる。とりわけ重要なのが、中国と韓国を中心とするアジアとの関係だ。小泉純一郎元首相は靖国神社参拝問題で中国、韓国と冷却関係となった。続く安倍前首相は両国訪問など改善に動いたが、強い信頼関係までには至らなかった。

 それだけに福田首相への期待は大きい。今回の中国訪問では熱烈な歓迎を受け、戦略的互恵関係の強化を確認した。春には胡錦濤国家主席の来日が予定されている。韓国では、対日関係の改善を説く李明博氏が新大統領として二月に就任する。日本と両国の間には難題も多いが、首脳の相互訪問を軌道に乗せて率直に話し合える関係に高めていくことが欠かせない。

 福田首相は昨年の心境を表す一字として「信」の大切さを説いた。内外の信を得る政治の立て直しが急がれる。


(2008年1月3日掲載)
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