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【TOKYOの時代】(8)新東京タワー 下町の活性化に期待 (4/4ページ)
このニュースのトピックス:TOKYOの時代
日本の伝統文化に興味を持つ外国人にとっても、伝統工芸作品を自分自身で作ることは貴重な体験であり、日本を知るための手立てとなっている。昨年は、韓国の学生30人が片岡さんの工房で屏風づくりを体験。日本の伝統工芸の奥深さを感じていたという。今後、「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を通じて訪れた外国人観光客にも対応していくことになるが、店舗マップにローマ字表記を採用するなど、マイスターらは早くも余念がない。
江戸時代には武家屋敷がたち並び、今でもその町並みにはその面影が残る。片岡さんは、「体験プログラムを促進することで、これまで見るだけ、歩くだけだった観光の形が大きく変わる。滞在時間も延びる」と、地域活性化への貢献を自負する。
ただ、「新タワーを訪れた観光客が下町を素通りし波及効果がなければ困る」(片岡さん)とも。浅草やタワーから歩いてもらいやすい町作りが、今後の課題だ。
地域に根付く産業やサービスを“観光”の視点で連携させ、新しい付加価値を生みだす。観光産業の振興を通じて、墨田区の産業の底力が再び試されようとしている。
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■形変え受け継ぐ江戸情緒
下町と聞いてまず思い浮かべるものは何ですか。浅草・浅草寺、国技館、それとも向島の料亭でしょうか。そのすべてに共通するのが「江戸情緒」でしょう。4年後にはそれに「新タワー」が加わります。江戸時代には、町人や職人が住み着き文化が花開いた地。明治期には、町工場が立ち並び近代産業の発展を支えた地でもあります。時代の変化に歩調を合わせながらも、古いものを形を変えて次代に受け継ぐ−。そんな当たり前だけと難しいことを自然にやってのけてしまう気風が、日本人や外国人観光客を惹きつけるのかもしれません。(千)