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ミサイル防衛の情報共有で今月中にも日米包括協議 平成21年度までに結論 (2/2ページ)
米軍も日本国内にこれらのMD関連兵器やレーダーを配備しており、弾道ミサイルに日米両国が共同で対処するためには、発射の兆候、発射の確認、軌道の追跡、迎撃の手順に関して、緊密な情報共有が重要になる。しかも、日本に近隣する国から日本へ向けて、弾道ミサイルが発射された場合、「約8分から約10分で着弾する」(防衛省筋)とされる。それだけに、情報共有がうまくいかなければ、MDシステムは機能せずミサイル迎撃に失敗する可能性が高い。
このため、日米両政府は、短時間でもMDシステムを的確に運用するために共有すべき情報やデータを特定した上で、実際の運用に際して両国がどのように情報を活用するか、情報保全体制をどう確立するかなどについて、行程表に盛り込むため、協議を始める。また、行程表はMDシステム整備の進展に即した形で、規定される見通しだ。
両政府は、全国のレーダーサイトや空中警戒管制機(AWACS)の情報を一元化する自動警戒管制システム「バッジシステム」に弾道ミサイル対処能力が加わり、「リンク16」と呼ばれる高度なデータ通信システムを用いるジャッジシステムが本格稼働する前に行程表をまとめる。22年度に空自と米空軍が米軍横田基地(東京都)にMDに関する司令部間の調整を行う「共同統合運用調整所」を新設するのに間に合わせる狙いもある。
【日本のミサイル防衛(MD)システム】日本に向けて飛来する敵の弾道ミサイルに対し、まず洋上のイージス艦に搭載したSM3ミサイルで迎撃し、撃ち漏らした場合は地上のPAC3で対応する2段構えの迎撃システム。政府は平成15年12月の閣議で導入を決めた。
導入は、北朝鮮による10年の弾道ミサイル発射実験がきっかけで、米国と共同しシステムの早期配備を急いできた。SM3は海上自衛隊のイージス艦「こんごう」のほか、今後3隻に搭載。PAC3も22年度までに全国16カ所に配備する計画だ。